丸山ワクチンをご存知でしょうか?丸山ワクチン(Specific Substance Maruyama)とは、1944年に皮膚結核の治療薬として誕生した医薬品です。
日本医大皮膚科教授の丸山先生が結核患者には癌が少ないことに気付き、研究開発に乗り出しました。癌の治療効果があると主張されていますが、薬効の証明の目処は立っていません。
このため2015年現在でも、癌に対する医薬品としては未承認のままです。しかし、癌に対する特効薬としての要望が根強くあるため、現在でも「有償治験薬」として使用され続けています。
このように丸山ワクチンは、既存の治療法では治療困難な癌患者さんの「最後の希望」となっています。先日、一般の方から丸山ワクチンの癌に対する効用について相談を受けました。
丸山ワクチンに関する一般の方の情報源は、ネットや書籍だと思います。さらっと調べてみると、医学的にまともな内容の情報源がほとんどありません・・・。
そして、丸山ワクチンが未承認なのは 「 陰謀論 」 との怪情報が山のように出てきました。私は真意を確認する術を持ち合わせていませんので、医師として学問的にアプローチしてみました。
PubMedで" Specific Substance Maruyama " を調べてみると、Quality journalはもちろんのこと英語の論文は全くのゼロでした。和文の日本医大雑誌が数件ヒットしただけです。
ちなみに丸山ワクチンのひとつである Z-100 (商品名:アンサー20)という放射線療法時の白血球減少抑制剤は40件ほどヒットしました。
この検索結果だけで、丸山ワクチンに抗癌作用があるか否かに対する答えが出ました。小国のGDPにも匹敵する売上を誇る世界の巨大製薬会社は激烈な競争を繰り広げています。
もし丸山ワクチンに抗癌作用があるのなら、あらゆる対象を日夜研究している世界の巨大製薬会社が、丸山ワクチンを見逃す可能性は限りなくゼロに近いと思います。
日本語だけの閉じた世界であれば見落とす可能性もゼロではないかもしれませんが、同一成分のZ-100の英語論文があります。Z-100の存在のため、可能性はゼロと言い切れる状況です。
もちろん、丸山ワクチンにプラセボ効果はあると思います。それも踏まえて「貴重な時間と体力を使うに値する効果を得る可能性は極めて低いと言わざるを得ない」 と相談者に説明しました。
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類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる