整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

抗菌薬

TKA: セメントに抗菌薬を混ぜる工夫

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)を施行しました。
手術自体は普通でしたが、今回はセメントに混入する抗菌薬でひとつの試みを行いました。


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こちらの記事に対していただいたコメントを参考に事前にガス滅菌したのです。抗菌薬をセメントに混ぜるときに、私の施設では外回りの看護師さんが清潔に気をつけて開けています。


ニッパーもしくはコッヘルの先で抗菌薬バイアルの金属部分およびゴム部分を開けてます。そして、内部の抗菌薬(CEZ)はカチカチなので、清潔のコッヘルで崩してからセメントに混ぜます。


しかし、この方法では清潔度にやや難があります。私はいつも目を皿のようにして外回り看護師さんの一挙手一投足を監視しています(笑)。


それぐらい、術者にもプレッシャーのかかる嫌な場面なのですが、バイアルごとガス滅菌して術者や助手などの清潔な人が開けることで、この清潔度にやや難のある操作を回避できます。


もちろん、BIOMETのCobalt G‐HV ボーンセメントを使用すれば問題ないのですが、適応が人工関節置換術の術後感染に伴う二期的人工関節再置換術の第二段階のみです。


このため、通常の人工関節手術では使用することができません。非常に残念なことです。今回教えていただいた工夫で抗菌薬を取り扱う際の感染リスクを少しですが低減できると思います。


ガス滅菌は60度まで温度が上昇するようですが、60度程度では抗菌薬の活性は問題ないです。自己満足かもしれませんが、TKAの感染リスクを少しだけですが低くできた気がします。





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初学者がTKAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です






低アルブミン血症下での抗菌薬選択

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高齢患者さんが治療対象に多い整形外科医の宿命として、重症肺炎の併発等によって受け持ち患者さんの全身状態が悪くなることがときどきあります。


このような場合、抗菌薬の投与方法がポイントになります。重症感染症では、低タンパク血症や低アルブミン血症を合併していることがほとんどです。


このような低アルブミン血症下では抗菌薬の選択に注意する必要があります。抗菌薬の効果は血漿蛋白結合率に影響を受けます。


名古屋大学 救急・集中治療医学教授の松田直之先生が、こちらのセミナー内で簡潔に説明されているのでご紹介いたします。


アルブミンとの結合率の高いことで知られるセフトリアキソン(ロセフィン)やテイコプラニン(タゴシッド)は、血漿蛋白と結合することで血中に長時間滞在することが可能となります。


ところが、低アルブミン血症では血漿蛋白が少ないため、早期に腎排泄されてしまい期待される血中濃度を維持することができません。


このため、低アルブミン血症では3時間から6時間かけて投与したり、1日1回の投与量を3分割して投与することを検討します。


一方、蛋白結合率が低いものとして、メロペネム(メロペン)などがありますが、こちらは低アルブミン血症の影響を受けにくいので通常の方法で投与しても問題ないです。


では、実際にはどのように抗菌剤を使用すればよいのでしょうか?それに対するひとつの案が、こちらのブログに掲載されています。興味のある方は是非ご覧ください。





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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。








周術期のセフェム系抗菌薬の投与方法

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先日、人工関節全置換術後の術後抗生剤投与が査定されてしまいました。私は、CEZ 1g×3回×2日間をルーチン的に投与していますが、1日3回は多いと指摘されました。


術後2日間という投与日数が多過ぎるという指摘であれば、反論しにくいので飲まざる得ないです。しかし投与回数への指摘だったので再審査請求することにしました。


再審査請求の文面は下記の如くとしました。


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セフェム系などのβラクタム系抗菌薬は、最小発育阻止濃度(MIC)を超える薬物濃度時間依存性の抗菌薬です(Time above MICタイプ)。したがって、βラクタム系抗菌薬は、MICを超える血中薬物濃度を維持する必要があります。


セフマゾンの半減期は約2.5時間なので、正常腎機能の方において1日2回投与ではMICを超える血中薬物濃度を維持できません。したがって、感染に対して脆弱な人工関節置換術後に対する周術期のセフマゾン投与では、1日3回投与が妥当な投与回数だと判断いたしました。

 

βラクタム系抗菌薬はTime above MICなので、分割投与が原則(1日2回投与よりも3回もしくは4回投与が理想的)です。薬物動態・薬力学に基づいたセフマゾン投与回数の妥当性につき、再度御検討いただけますよう何卒お願い申し上げます。


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CEZの3回/日投与が否定されるのは心外ですが、投与日数に関しては1日(もしくは24時間以内)でもよいかもしれません。これについては私の中で、今後の検討課題です。


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