日整会誌に第84回日本整形外科学会で教育研修講演予定だった
横浜市立大学の稲葉先生の論文がありました。
お題は”感染人工関節の新しい診断法と治療戦略”です。
興味深い内容だったので、要約します。


診 断
・ 感染人工関節の術前診断は、無菌性ゆるみと鑑別困難な場合がある

・ 18F-fluoride PETで集積あり→感染性、無し→無菌性
・ 18F-fluoride PETの集積部位で、感染巣の部位を判断することが可能
・ 凍結切片を用いた迅速病理組織診断
→ 好中球が強拡大視野あたり10個以上、5視野以上)で感度67%、特異度90%
・ リアルタイムPCR法(MRS-PCR, universal PCRの2種類を同時施行する)


治 療
・ 海外では抗菌薬含有セメント(ALAC)が市販されているが、本邦では使用不可
・ 抗菌薬含有セメントスペーサーでは鎮静化を得られない症例に対しては、抗菌薬充填HABが望ましい
・ 長期間にわたり抗菌薬を徐放すること、および熱による不活化がおこらないことが抗菌薬充填HABの長所




雑 感
・ PETを感染の診断にもちいているようですが、保険の問題から一般病院では難しいです。
・ 同様にPCRも難しいのではないでしょうか。
・ 抗菌薬充填HABには、オリンパスのボーンセラムPを使用します。
・ 1個あたり31100円と高価ですが、たしかに感染を鎮静化する力は大きいように感じます。