整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

抜釘

ハンソンピン後THA抜釘法の落とし穴

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先日、大腿骨頚部骨折後の外傷性大腿骨頭壊死症に対する人工股関節全置換術(THA)がありました。内固定材料はハンソンピンです。


以前にハンソンピン後THAのうまい方法で、通常通り大腿骨頭を脱臼させて骨頭の上1/3をノミやリュエル鉗子で切除して、ハンソンピン先端から容易に抜去する話題がありました。


順行性にハンソンピンを抜去するので、抜釘のための皮切を追加する必要がないことがメリットです。まさにコロンブスの卵的な発想ですね!


ただし、自分では試したことが無いので、実践できる機会をうかがっていました。待つこと9ヵ月で再びハンソンピン後THAがやってきました。


実際にどんな感じだったかというと、たしかに脱臼して順行性にハンソンピンを抜去することは可能でした。しかし、想定外のトラブルがひとつ発生しました。


それはハンソンピン先端を展開して抜こうとしても、2本目がうまく抜けなかったことです。ハンソンピン先端をつまんで引っ張ってもなかなか抜けません。


最終的には一度奥に叩き込んでから引き抜くことで抜去できましたが、抜去したハンソンピンを観察すると、お尻部分にごくわずかな段差があります。


どうやらハンソンピン内部構造と外筒の境界のようです。このわずかな段差のために、外側骨皮質に引っ掛かって抜けなかったようです。


今までのように追加皮切は不要でしたが、予想していなかった小さな落とし穴がありました。やはり何事も一度はやってみないと分からないものですね...。






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外傷性大腿骨頭壊死の抜釘は行うべき?

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大腿骨頚部骨折のGarden stage 1 や stage 2の症例は、一般的にはCCSやハンソンピンを用いた関節内骨折観血的手術が選択されます。


しかし、術後3ヵ月の時点で MRI を撮像すると、残念ながら外傷性大腿骨頭壊死症を併発していることがあります。


Type C1以上であれば大腿骨頭関節面が圧壊する危険性が高いのですが、すぐに圧壊するわけではなく、何年も大腿骨頭が圧壊せずに無症状で経過する症例も多いです。


このような症例では内固定材料をどうするのかがひとつのポイントになります。Type C1では10年間で50%以上圧壊すると言われています。


内固定材料が長期間にわたって大腿骨の荷重部分にあるのも気持ちが悪いです。このため内固定材料を抜去したい誘惑に駆られます。


しかし、大腿骨頭壊死症を併発している症例の内固定材料を抜去すると、急速に大腿骨頭の圧壊が進行することがあります。


その理由は、壊死骨の支柱になっている
内固定材料を抜去してしまうと、壊死骨内の荷重伝達環境が変わってしまって急速に大腿骨頭の圧壊が進行するものと思われます。


そのような理由から、大腿骨頭壊死症を併発している症例に関しては、内固定材料は抜去しない方が良いかもしれません。


もちろん、大腿骨頭の圧潰が進行して内固定材料が荷重面を穿破する危険性もあるので、慎重に経過観察する必要はあります。







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掌側プレート上に正中神経が・・・

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最近、立て続けに橈骨遠位端骨折の掌側プレートの抜釘術がありました。橈骨遠位端骨折の掌側アプローチは、さほど解剖学的に難しいものではありません。


しかし、抜釘では少し注意するべき点があるように感じたのでご報告します。通常、橈骨遠位端に掌側からアプローチする場合、FCRと橈骨動脈の間から進入します。


このため、橈骨動脈の存在には気を遣うものの、正中神経や長母指屈筋腱が術野に出てくることは、あまりありません。しかし、抜釘時には、進入路が瘢痕化して癒着しています。


実際のところは分かりませんが、内部が瘢痕化する過程で正中神経や長母指屈筋腱が瘢痕組織に引っ張られて、通常よりも橈側に偏移していることが多い印象です。


前回皮膚切開→進入路で展開していくと、思いがけずに正中神経が目の前(!)に出てきて、冷や汗をかく場面が何度かありました。


有るはずが無いと思っているモノが有ると、予想外の医療事故につながる可能性があります。橈骨遠位端骨折の掌側プレートの抜釘時には、正中神経に要注意だと思いました。





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舟状骨骨折の抜釘は行うのか?

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先日、舟状骨骨折の術後患者さんから抜釘を行うのか? と質問されました。今まで特に意識したことは無かったのですが、私自身は舟状骨骨折の術後で抜釘したことはありません。


舟状骨骨折 ≠ 抜釘 という認識だったのですが、意識して考えてみると本当に抜釘しなくてもいいのかなと不安に思いました。


そこで、手の外科医師に訊いてみました。手の外科医師も、やはり舟状骨骨折では余程特殊な症例を除いて抜釘しないとのことでした。


その理由として、物理的に舟状骨骨折で使用したスクリューを抜去することが難しいことが挙げられます。例えばAcutrakを使用した場合、スクリューは完全に骨内に埋まります。


この舟状骨内に埋没されたスクリューヘッドを探し出すためには、透視で確認しながら舟状骨を骨ノミで割って探索する必要があります。


しかも掌側アプローチの場合には、スクリューを大菱形骨-舟状骨間から刺入しているため、大菱形骨が非常に邪魔になります。


このようなことを改めて考えると、舟状骨骨折で抜釘はほとんど選択されない理由がよく理解できました。




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壊死併発の頚部骨折は抜釘するべき?

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1年前のことですが、50歳台の患者さんが転倒して大腿骨頚部骨折を受傷しました。単純X線像ではGarden stage 3でしたが、若年だったのでハンソンピンで緊急手術を施行しました。


そして、術後3ヶ月後に股関節のMRIを撮像したところ、残念ながらtype C2の広範な大腿骨頭壊死を併発していました。受傷後5時間以内に手術を施行したのに残念です。


壊死を併発したのは仕方ないですが、内固定材を抜釘するべきか否かで迷っています。大腿骨頭壊死症でtype C2の場合、10年以内に50%程度の確率で大腿骨頭の圧潰を来たします。


今回の患者さんはやや大柄な男性なので、比較的早期に圧潰が発生することが予想されます。ただ、現時点では全く何の症状もありません。


下肢の骨折手術後の抜釘術は、術後1年前後で施行するケースが多いです。しかし、いずれ大腿骨頭が圧潰することが予想されるので、THAを施行する際に抜釘することも可能です。


また、現在挿入されている内固定材が、ある程度は壊死骨の支柱となっている可能性も否定はできません。抜釘によって大腿骨頭圧潰が発生すると患者さんとの信頼関係が損なわれます。


このようなことを検討した結果、現在大腿骨頭に挿入されている内固定材(ハンソンピン)は、抜釘せずにこのまま置いておくことにしました。


そして、将来的に大腿骨頭の圧潰を併発すればカットアウトするリスクがあるので、早々に抜釘術とTHAを施行する方針です。できれば長期間にわたって圧潰せずにもって欲しいものです。




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