先日、大腿骨頚部骨折後の大腿骨頭壊死症に対して、抜釘術及び 人工股関節全置換術(THA) を行いました。


大腿骨頚部骨折はGarden stage 3 だったのですが、若年者だったのでハンソンピンによる骨接合術を選択しました。


しかし、やはりGarden stage 3 だったので、Type C 2の 大腿骨頭壊死を併発して、関節面の圧壊がどんどん進行してしまいました。


歩くのも困難なほどの痛みになってきたので、やむを得ず抜釘術及び THA を行うことになりました。


私は側臥位で THA をしているのですが、まず抜釘をしようとして手が止まりました。前回手術の皮膚切開位置が、大腿骨のかなり前の方だったのです。


おそらく体位の問題だと思うのですが、前回皮膚切開を利用するとかなり抜釘に苦労することが予想されます。


ハンソンピンの骨内への刺入位置は、大転子無名結節よりやや抹消です。そこで少し考えたのですが、 大腿骨大転子部無名結節から末梢に新たな皮膚切開を加えることにしました。


ハンソンピン直上に皮膚切開を新たに加えることで、比較的容易にピンを抜釘することができました。 小切開での抜釘は難しいことが多いです。


その後は通常の THA に移行したのですが、今回新たに加えた皮膚切開を連結することで、手術自体も非常に楽に終えることができました。


術後に皮膚切開の長さを測ると13 cm でした。通常 8~9 cm 程度で手術を行っているのですが、4 cm 増えるだけで手術のしやすさが全く異なります。


今回の教訓として得たのは、小皮切で施行したハンソンピンをそのままの皮膚切開を利用して抜釘しようとすると、手術が難しくなる可能性があるということです。


その場合には躊躇せず、新しい皮膚切開を加えてTHAを施行する行うほうが、手術はスムーズに行くと思われます。従来の皮膚切開に拘泥しすぎるのは得策ではないでしょう。





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