先日、アルバイト先で外来をしていると、前腕両骨骨折の抜釘術後の患者さんが同部位を再骨折して救急受診されました。抜釘後3週間ほどで転倒して手を付いたそうです。
今回は前回の骨折部位よりもやや中枢のスクリューホールを起点に骨折を併発したようです。抜釘して3週間で、再手術となってしまい非常に気の毒でした。
橈骨遠位端骨折後の掌側プレートの抜釘後に再骨折を来たした症例は経験ありませんが、今回の例も含めて前腕の骨幹部に近い部位での骨折では、再骨折する症例をよく見かけます。
これは前腕の骨幹部骨折だけではなく、尺骨短縮骨切術後の抜釘も含みます。また、非手術症例でも、前腕骨幹部骨折では再骨折する患者さんをよくみかけます。
このため、橈骨遠位端骨折以外の前腕骨骨折では抜釘しない方が良いのでは? と思うようになりました。抜釘する場合も、術後半年はブレース装着を推奨した方がよいかもしれません。
とにかく前腕骨骨折は再骨折しやすいので、骨癒合を得られたからと言って無罪放免ではなく、骨折後(抜釘術後)半年ぐらいはフォローするぐらいの気持ちが必要なのでしょう。
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AO法骨折治療
抜釘
昨日は鎖骨外側端骨折後の抜釘術でした。
抜釘した内固定材料はクラビクルフックプレートで、HOMS技研のHAI肩鎖関節プレートです。
形状がアナトミカルでシンセスのクラビクルフックプレートよりも薄いのがメリットです。鎖骨プレートは皮膚直下に設置するのでプレートの厚みは重要なポイントです。
クラビクルフックプレートを用いた骨接合術は簡便で、鎖骨外側端骨折の治療は非常に容易になりました。しかし、やはりフックを肩峰下に挿入することは術後の肩関節痛の原因となります。
今回の方も肩関節を挙上すると、かなり肩関節の痛みがありました。しかし、抜釘後に病室で家族に術後の説明をした際、少し肩を挙上してもらうと痛みは随分軽減したとおっしゃられました。
まだ手術直後にも関わらず、肩関節可動域も若干改善しているように見えました。そして本日に術後回診した際には、明らかに肩の痛みは軽快して関節可動域も広がっていました。
やはり、フックによる肩関節痛がかなりあったようです。術式が簡単で成績も安定しているのでフックプレートを選択してしまいますが、抜釘時期を少し早めた方がよいのかもしれません。
※ クラビクルフックプレートを用いた鎖骨遠位端骨折の手術記録のテンプレートが必要な方は、私の運営するサイトから自由にダウンロードしていただけます。ただし、手術記録のテンプレートはあくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行っていただけますよう重ねてお願いいたします。
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AO法骨折治療
先日、大腿骨転子部骨折に対してCHSで骨接合された方が転倒されて、骨幹部骨折を受傷されました。このCHSは数年前に他施設で施行されています。
単純X線像上、このCHSの機種はCapturedに見えたので通常の六角ドライバーを準備してもらうつもりでした。しかし、単純X線像をよくみるとスクリューヘッドがスタードライブではないですか!
Capturedのスクリューヘッドはスタードライブだったっけ?と思い、メーカーに確認したところ、やはり六角ドライバーとのことです。そしてよくみると微妙にCaptuerdと形状が異なる気がしてきました。
そこで、その病院に問い合わせてみたところ、JMMのCHSであることが判明しました。知らずにCapturedのドライバーしか準備していないと抜釘できずにエライことになるところでした・・・。
他施設施行症例の抜釘は、いつもヒヤヒヤします。何と言っても情報が不足していることに加えて、今回のような思いがけない落とし穴が潜んでいる可能性があるからです。
それにしても今回は気付いて良かったものの、首の皮一枚で助かったようなものです。今後も他施設施行症例の抜釘は注意していきたいと思います。
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AO法骨折治療
先週の金曜日に脛腓骨遠位端骨折の抜釘術を行いました。
術後1年程度なのですが、脛骨はロッキングプレートでした。
通常のプレートであれば、スクリューが折損したり六角穴が潰れてもプレートを抜去できないことは無いですが、ロッキングプレートの場合には、スクリューが1本でも抜去できないとプレートも抜去不能となります。
したがって、従来以上の注意が必要となりますが、抜釘時のスクリュー折損はある一定の確率で発生します。このような場合に活躍するのが、折損スクリュー抜去セットです。
これを準備しているか否かでは、折損発生時の対応方法が大きく異なります。先週の症例でもスクリューが既に折損していましたが、折損スクリュー抜去セットを準備していたので数分で抜去できました。
尚、折損スクリュー抜去セットには下記状況に対応できるデバイスが揃っています。
① スクリューの六角穴が潰れた時
② スクリューが折損して先端が骨内に残った時
事前に使用方法を予習しておくと、スクリューが折損するトラブルが発生してもスムーズに対応できます。特にロッキングスクリューの抜釘時には必須のアイテムだと思います。
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その他 (関節リウマチ、痛風・高尿酸血症、骨粗鬆症、専門医試験)
昨日の午後は脛骨髄内釘の抜釘術でした。
髄内釘挿入部に骨形成していたためかなりの骨切除が必要でした。
更に10mmのエンドキャップだったので、髄内釘の頭が脛骨内深くに埋まっていました。エンドキャップ周囲は全て骨なので、抜去器を挿入する方向が限られて非常にタイトな術野でした。
一応、テーパー型の抜去器も用意していたので事なきを得ましたが、初回の骨折時の手術で長いエンドキャップを選択するのは問題があるなと感じました。
もちろん、数mm単位でぴったりの長さの髄内釘を予め選択することは不可能ですが、初回手術時から抜釘のことを考えて髄内釘を深く挿入し過ぎないことも重要だと思いました。
髄内釘の頭が脛骨前面と面一になる深さでに留めることに拘って骨折部の安定性が損なわれれば本末転倒ですが、少しの差であれば抜釘時のことも考えるべきなのかなと感じました。
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