整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

掌側プレート

掌側プレート上に正中神経が・・・

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タイトル違いで恐縮ですが、拙書 医師の経済的自由 の増刷が決定しました! 今回は第3刷とのことで、本当にありがたいかぎりです。


医師としてのキャリアを楽しみながら経済的自由に到達する選択肢があることを、できるだけ多くの医師に知っていただきたいと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。



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最近、立て続けに橈骨遠位端骨折の掌側プレートの抜釘術がありました。橈骨遠位端骨折の掌側アプローチは、さほど解剖学的に難しいものではありません。


しかし、抜釘では少し注意するべき点があるように感じたのでご報告します。通常、橈骨遠位端に掌側からアプローチする場合、FCRと橈骨動脈の間から進入します。


このため、橈骨動脈の存在には気を遣うものの、正中神経や長母指屈筋腱が術野に出てくることは、あまりありません。しかし、抜釘時には、進入路が瘢痕化して癒着しています。


実際のところは分かりませんが、内部が瘢痕化する過程で正中神経や長母指屈筋腱が瘢痕組織に引っ張られて、通常よりも橈側に偏移していることが多い印象です。


前回皮膚切開→進入路で展開していくと、思いがけずに正中神経が目の前(!)に出てきて、冷や汗をかく場面が何度かありました。


有るはずが無いと思っているモノが有ると、予想外の医療事故につながる可能性があります。橈骨遠位端骨折の掌側プレートの抜釘時には、正中神経に要注意だと思いました。





★★ 第3刷決定! ★★
 


当ブログ管理人書き下ろしの書籍が、中外医学社から発刊されました。「経済的に自由な医師」になることで、医師としての充実感と経済的成功を両立できる道があります。


本著では、資産形成論とマインドを学ぶことができます。具体的な手法は勤務医のための資産形成マニュアルに譲りますが、医師に特化した資産形成の入門書として是非ご活用ください!




161228 【書影】医師の経済的自由







粉砕型の背側Barton骨折

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先日、少し珍しい橈骨遠位端骨折の手術を施行しました。
骨折型は背側Barton骨折なのですが、背側骨片が粉砕していました。



1 - コピー



しかも、橈骨遠位端骨折の受傷歴があり、掌側皮質が変形しています。まず、上の画像は月状骨部分の関節面です。これだけみれば普通の背側Barton骨折です。



2 - コピー



次に舟状骨部分の関節面です。関節面が陥没しています。橈骨背側プレートには良いものがありません。今回のような粉砕した背側骨片をどうやって強固に内固定するのか?


しかも橈骨掌側皮質がほぼフラットです。これでは橈骨掌側プレートを使用しにくいですね。しかし、消去法的に考えて、掌側プレートで内固定することにしました。


問題は舟状骨部分関節面の整復です。まず背側からK-wireを用いた整復を試みましたが、うまく関節面の挙上ができません。そこで橈骨掌側を開窓して、エレバトリウムで挙上しました。


この方法であっさり整復することができました。月状骨部分の骨片はintrafocal pinningで整復しました。この状態で掌側の開窓部からβ-TCPを移植して掌側プレートを設置しました。



3 - コピー



今回の教訓は、関節面の整復では、経皮的に施行するよりもある程度大きく開窓してエレバトリウム等で施行した方が素早く確実に施行できるということでした。


当たり前と言えば当たり前なのですが、次回からは術前計画の段階で、第一選択として挙げておこうと思いました。





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掌側プレートのmodified skyline view

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先日、橈骨遠位端骨折に対する掌側プレートの手術がありました。
この手術は前回ご報告したような手法を用いることで難なく施行できることが多くなりました。


術中にトラブルをおこすポイントはさほどないのですが、数少ないピットフォールのひとつにスクリューが橈骨背側皮質を貫通して伸筋腱の滑走障害の原因となる可能性が挙げられます。


これを回避するためには2012年にJ Hand Surg EurでRiddickらが報告した、術中のSkyline viewが有用です。これは手関節屈曲70度にして接線方向から撮影する方法です。



この撮影によって橈骨遠位端背側皮質を意図せず貫通することは無いと思っていました。しかし、佐賀社会保険病院の石井英樹先生は「えっ?」という論文を2013年に発表されました。



この論文によると、Riddickらが橈骨の背側皮質と考えていたラインは、実は月状骨背側骨皮質のラインであり、実際の橈骨背側骨皮質のラインはより掌側であったそうです。



これを回避するためには、石井先生らは手関節伸展70度にして接線方向から撮影する方法(modified skyline view)の有用性を提唱されました。



skyline view

(石井英樹先生 骨折 第35巻No. 4 ,2013 より抜粋)



上記がmodified skyline viewです。実際にみると、手根骨が重なってやや見にくいですが、オリジナルよりも正確に橈骨遠位端背側皮質とスクリュー先端の距離を判断できます。


このあたりの知識は実臨床上は重要なポイントなので、橈骨遠位端骨折に対して掌側プレートの手術を施行する場合には必ず確認しておくべきだと思います。


 



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橈骨掌側プレートの位置決めのコツ

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先日、橈骨遠位端骨折に対する掌側プレートを用いた骨折観血的手術がありました。掌側プレートを用いた手術の最大のヤマ場は、遠位最尺側へのスクリュー刺入だと思います。



このスクリュー(ピン)の刺入を至適位置にキメルことができれば、後は流れ作業のように手術が終わります。しかし、立体認知能力に劣る者(=私)にとっては容易な手技ではありません。


過去にもご紹介したようにいろいろ工夫していますが、症例によってはなかなか満足のいく位置にスクリュー(ピン)を刺入することができず、ストレスが溜まることも多かったです。


しかし、同僚が発案した工夫でストレスから解放されました。最遠位尺側へのスクリュー刺入が難しいのは、骨片とプレートの位置関係を3次元で考えて調整しなければならないからです。


3次元で考えると難しいのですが、2次元にすることで随分難易度は下がります。具体的には手台を脚の無いもの(木板等)に変更して 手術台を患側が下になるように傾けるのです。




キャプチャ



掌側プレートの遠位最尺側のスクリュー孔が正円になるように、手術台の傾きおよび前腕の回内外を調整します。上図では遠位最尺側のスクリュー孔に仮固定用スリーブを付けています。


スクリュー孔が正円になれば2次元でプレートの位置を調整します。掌側プレートの遠位最尺側のスクリュー孔を至適位置に誘導して、そのまま鉛直方向にドリリングするだけです。


この手技を採用すると 2次元の位置調整のみになるので、
掌側プレートを至適位置に簡単に誘導することが可能となります。興味のある方は一度試されてはいかがでしょうか。





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長過ぎる掌側プレートも考えモノ

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先日、橈骨遠位端骨折に対する掌側プレートによる関節内骨折観血的手術がありました。
橈骨遠位端の骨折が関節面から約4cm中枢にまで達していました。


橈骨遠位端関節面も激しく粉砕していました。radiocarpal joint 内に遊離している骨片があったので、手関節背側から関節内を展開して遊離骨片の摘出術も追加で施行しました。


このようになかなか大変な手術でしたが、関節面から約4cmも中枢側にまで達している骨折に対応するため、通常2~3穴の掌側プレートにも関わらず5穴を選択せざるを得ませんでした。


これだけ長いプレートを選択すると、通常の(2~3穴の)掌側プレートを選択する時とは比較にならないぐらい正確にプレートの設置位置を調整する必要がありました。


私はradial inclinationを矯正するために敢えてプレート中枢端が尺側にくるように設置しますが、2~3穴の掌側プレートと同じ感覚だと過大にradial inclinationが矯正されてしまいます。


橈骨遠位端部でのプレートの設置位置および橈骨長軸とプレート軸の設置角度ともに、かなり神経を使って調整する必要がありました。


橈骨遠位端骨折に対して、これほど長い掌側プレートを選択するケースはあまり無いと思いますが、プレート長に起因する意外なピットフォールだと感じました。



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