整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

掌側プレート

掌側プレートのmodified skyline view

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先日、橈骨遠位端骨折に対する掌側プレートの手術がありました。
この手術は前回ご報告したような手法を用いることで難なく施行できることが多くなりました。


術中にトラブルをおこすポイントはさほどないのですが、数少ないピットフォールのひとつにスクリューが橈骨背側皮質を貫通して伸筋腱の滑走障害の原因となる可能性が挙げられます。


これを回避するためには2012年にJ Hand Surg EurでRiddickらが報告した、術中のSkyline viewが有用です。これは手関節屈曲70度にして接線方向から撮影する方法です。



この撮影によって橈骨遠位端背側皮質を意図せず貫通することは無いと思っていました。しかし、佐賀社会保険病院の石井英樹先生は「えっ?」という論文を2013年に発表されました。



この論文によると、Riddickらが橈骨の背側皮質と考えていたラインは、実は月状骨背側骨皮質のラインであり、実際の橈骨背側骨皮質のラインはより掌側であったそうです。



これを回避するためには、石井先生らは手関節伸展70度にして接線方向から撮影する方法(modified skyline view)の有用性を提唱されました。



skyline view

(石井英樹先生 骨折 第35巻No. 4 ,2013 より抜粋)



上記がmodified skyline viewです。実際にみると、手根骨が重なってやや見にくいですが、オリジナルよりも正確に橈骨遠位端背側皮質とスクリュー先端の距離を判断できます。


このあたりの知識は実臨床上は重要なポイントなので、橈骨遠位端骨折に対して掌側プレートの手術を施行する場合には必ず確認しておくべきだと思います。


 



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橈骨掌側プレートの位置決めのコツ

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先日、橈骨遠位端骨折に対する掌側プレートを用いた骨折観血的手術がありました。掌側プレートを用いた手術の最大のヤマ場は、遠位最尺側へのスクリュー刺入だと思います。



このスクリュー(ピン)の刺入を至適位置にキメルことができれば、後は流れ作業のように手術が終わります。しかし、立体認知能力に劣る者(=私)にとっては容易な手技ではありません。


過去にもご紹介したようにいろいろ工夫していますが、症例によってはなかなか満足のいく位置にスクリュー(ピン)を刺入することができず、ストレスが溜まることも多かったです。


しかし、同僚が発案した工夫でストレスから解放されました。最遠位尺側へのスクリュー刺入が難しいのは、骨片とプレートの位置関係を3次元で考えて調整しなければならないからです。


3次元で考えると難しいのですが、2次元にすることで随分難易度は下がります。具体的には手台を脚の無いもの(木板等)に変更して 手術台を患側が下になるように傾けるのです。




キャプチャ



掌側プレートの遠位最尺側のスクリュー孔が正円になるように、手術台の傾きおよび前腕の回内外を調整します。上図では遠位最尺側のスクリュー孔に仮固定用スリーブを付けています。


スクリュー孔が正円になれば2次元でプレートの位置を調整します。掌側プレートの遠位最尺側のスクリュー孔を至適位置に誘導して、そのまま鉛直方向にドリリングするだけです。


この手技を採用すると 2次元の位置調整のみになるので、
掌側プレートを至適位置に簡単に誘導することが可能となります。興味のある方は一度試されてはいかがでしょうか。





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長過ぎる掌側プレートも考えモノ

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先日、橈骨遠位端骨折に対する掌側プレートによる関節内骨折観血的手術がありました。
橈骨遠位端の骨折が関節面から約4cm中枢にまで達していました。


橈骨遠位端関節面も激しく粉砕していました。radiocarpal joint 内に遊離している骨片があったので、手関節背側から関節内を展開して遊離骨片の摘出術も追加で施行しました。


このようになかなか大変な手術でしたが、関節面から約4cmも中枢側にまで達している骨折に対応するため、通常2~3穴の掌側プレートにも関わらず5穴を選択せざるを得ませんでした。


これだけ長いプレートを選択すると、通常の(2~3穴の)掌側プレートを選択する時とは比較にならないぐらい正確にプレートの設置位置を調整する必要がありました。


私はradial inclinationを矯正するために敢えてプレート中枢端が尺側にくるように設置しますが、2~3穴の掌側プレートと同じ感覚だと過大にradial inclinationが矯正されてしまいます。


橈骨遠位端部でのプレートの設置位置および橈骨長軸とプレート軸の設置角度ともに、かなり神経を使って調整する必要がありました。


橈骨遠位端骨折に対して、これほど長い掌側プレートを選択するケースはあまり無いと思いますが、プレート長に起因する意外なピットフォールだと感じました。



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橈骨遠位端掌側プレートの私的コツ

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先週は年末年始の大雪のために、橈骨遠位端骨折に対する手術が立て続けにありました。
いずれの症例も、Watershed Line Designの掌側プレートを用いた内固定を行いました。


一時期、方形回内筋を温存しようと試みましたが、最近では手術時間短縮と正確な部位へのプレート設置を第一に考えて、以前の方形回内筋の縦切方式に戻しています。


かなりの症例をこなしていることもあり、最近では掌側プレートを用いた手術のコツが何となく分かってきたような気がします。私が気付いたコツは下記の5点です。


① Watershed Lineを用手的もしくはエレバトリウムの先端で確認
② 掌側プレート(Watershed Line Design)の末梢端をWatershed Lineに合わす
③ 橈骨遠位骨片の尺側・関節面からそれぞれ1mmの部位にプレート端が位置するよう仮固定
④ プレート中枢側は橈骨骨幹部の尺側縁から5mm程度は掌側に浮くようにする
⑤ 仮固定から全てのロッキングスクリュー刺入完了まで、プレートを遠位骨片に圧着し続ける


これらのポイントは、ほぼ同時作業になります。展開で5分、橈骨遠位骨片への全てのロッキングスクリュー刺入完了まで20分をひとつの目安にしています。



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上肢手術で早すぎる復職は危険!

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最近は転位の大きな橈骨遠位端骨折に対して、積極的に掌側プレートを用いた手術治療を行っています。手術治療のメリットは早期から関節可動域訓練が可能なことです。


しかし、術後1週間目の早期から復職する等のあまりに激しい負荷を掛けると、患肢の高度の腫脹をきたして機能予後が悪くなることを経験しました。


下肢であれば多少組織が腫脹しても大関節が多いので、それほど機能障害を残すことはありません。しかし、上肢で高度の腫脹を併発すると軟部組織の伸張性を毀損してしまいます。


具体的には腫脹により関節包靭帯が癒着してしまうため、関節可動域がかなり悪くなってしまうのです。一度、このような状態になると手関節鏡による授動術が必要となります。


このため最近では、リハビリテーションを施行する時以外には、敢えて術後1週ほどは外固定を併用する方が良いのでは?と思うようになりました。


やはり、「手の外科」という分野があるぐらい、上肢の治療は繊細で難しいと改めて感じています。



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広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。
特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく
実践的な医学書です。




                                                   

                                        
            
手の外科の実際                       私の手の外科―手術アトラス








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