整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

接骨院

接骨院でシップ処方のカラクリ

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ときどき、患者さんから「接骨院でシップをもらっています」と言われることがあります。「ふ~ん」と聞き流していましたが、よく考えると接骨院って、薬剤を処方できるのでしょうか?


接骨院の不正請求の温床となっている悪名高き「受領委任払い制度」は、湿布のような医薬品まで適応されるのか?ますます接骨院の正体が分からなくなってきたので調べてみました。


結論としては、接骨院では医薬品を処方できません。当たり前ですね。では、接骨院で「処方」されている湿布は、一体何者なのでしょうか?


実は、湿布ではなく冷却材(冷却シート)だそうです。 メントールが含まれているので装着感は医薬品の湿布に似ていますが、薬効成分は含まれていないので当然効果はありません。


湿布に似ているので患者さんは「シップ」と思っていますが、実は単なる冷却材なのです。以前は湿布の違法販売が横行していましたが、取締強化のため冷却材を出すようになったそうです。


少し業界が浄化されてきたのかもしれません。法律を遵守する気概を感じます。これからの時代は、今までのように「利益のためには法令無視」では立ち行かなくなっていくでしょうから。


このように「接骨院でシップを処方してもらった」カラクリが分かりましたが、私は接骨院に関して無知であることを今更ながらに思い知りました。


まぁ、興味が無いからと言ってしまえばそれまでなのですが、現実問題として接骨院に行っている患者さんも存在します。このため、彼らの事もある程度知っておく必要があると感じました。





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単純X線検査なしで治療する恐怖

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先日の外来で、足関節を捻転した若年女性が初診されました。
では、単純X線像を撮影しましょうと言ったところ、「妊娠している可能性がある」とのことです・・・


詳細にお伺いすると、しばらく生理がきていなくて市販の妊娠検査薬は陽性だったとのことです。う~ん、これは妊娠している可能性が高そうです。


足関節は外果周囲の軽度の腫脹・圧痛および内果の圧痛を認めます。内果には腫脹はなく、ATFLやCFLの圧痛は軽度です。軸圧痛はありません。


印象としては、足関節脱臼骨折である可能性は低く、もし骨折があったとしても転位はほぼ無さそうです。一応、足をひきずりながらも歩いて受診されています。


一方、この方が妊娠していると仮定すると、最も放射線被爆が問題になる時期にさしかかろうとしています。この場面では単純X線検査を施行するか否かの判断が難しいです。


客観的にみると、きっちりプロテクターを着て撮影すれば放射線の影響は最小限に抑えることは可能であり、この撮影のために胎児が流産したり障害を持って生まれる可能性は低いです。


しかし、自然経過の場合でも流産や障害児が生まれる可能性はあります。もしも、そのような転帰をとった場合には、この女性は大きな精神的トラウマを抱えてしまうことになります。


このあたりのことを正直に説明した上で、単純X線像を施行するか否かについて話し合った結果、今回は単純X線検査を施行せずに骨折に準じてU字スプリントで治療することにしました。


印象としては骨折ではなく足関節靱帯損傷なのですが、万が一骨折があった場合を考えて3週間免荷としました。何が正解かは分かりませんが、おそらく問題なく治療できると思います。


一方、今回のように単純X線検査なしで治療するのは、暗闇の中でモノを探すような感覚に陥りました。やはり、単純X線像が無いと治療を行う上で非常に不安になります。


良く考えてみると、この状況は接骨院の置かれている状況です。彼らはこんなコワい状況でよく商売しているなと感心しました。私ならコワくて精神的にもたないです(笑)。


おそらく、コワさを知らないからできているのでしょう。そういえば先日、接骨院でマッサージ(?)を受けた直後から四肢麻痺が出現した患者さんの救急要請があったことを思い出しました。


このあたりの話は整形外科医なら誰もが知っていることだと思いますが、世間的にはあまり話題に上りません。きっと闇に葬り去られているんでしょうね・・・




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医院併設接骨院のアブナイ実態

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先日、外来をしていると足関節の痛みが続くという患者さんが初診されました。
受傷から1ヶ月経過するのに、未だに足関節内側の腫脹と圧痛が残存しています。


ご本人曰く、近くの接骨院でレントゲンを撮ってもらったが何とも無かったと言われたとのことでした。接骨院でレントゲン撮影??? 一瞬訳が分からなかったですが、すぐにピンと来ました。


近くに古くからの内科医院があるのですが、同じ建物内で接骨院が開業しているのです。この内科医院の院長は80歳近いです。そして、その院長の息子さんが接骨院を営んでいるのです。


もともとは内科医院を継がすために医学部を目指していたのですが、何浪しても医学部に合格できなかったため、やむを得ず専門学校に通って柔道整復士の資格を取得したそうです。


これだけなら「ふ~ん」で終わる話ですが、ここからがイケません。接骨院を訪れた患者さんに対して隣の(同じ建物の中にある)内科医院でレントゲンをバンバン撮っているのです。


内科医院でレントゲン撮影を施行しているので、ここまでなら倫理的な問題は別にしても法的な問題は無い(?)のでしょうが、その後の対応が本当に酷いです。


その柔道整復士さんに骨折は無いと「診断」された患者さんの中には、結構な頻度で骨折している方が存在します・・・。しかもほぼ100%の患者さんが骨折部に温熱療法を施術されています。


本来なら冷却するべきところを、受傷早期から骨折部に温熱療法を施行するので、患部の腫脹や痛みが半端ではありません。これって、一種の犯罪ではないでしょうか?


今まで、医院と接骨院を併設しているケースをいくつか見ましたが、親が整形外科医の場合はここまで酷くありません。しかし、内科医院併設の接骨院は救いようが無いです。


自分の子供が医学部に進学することが叶わずに、やむを得ず場当たり的に接骨院を開業させたのでしょうが、もう少し節度を守って(せめて社会に害を与えないで)欲しいと思いました。



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療養費受領委任払制度が諸悪の元凶

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日本整形外科学会から「医師のための保険診療基礎知識」という冊子が送られてきました。副題は医業類似行為関連Q&Aで、いわゆる柔整問題についての冊子です。


整形外科と言っても、勤務医の立場からは柔道整復師から経済的な実害を被る機会は少ないと思います。もちろん、医業類似行為による患者さんの被害は結構大きいです。


例えば、接骨院で肋骨や腰椎棘突起を折られたとか、「腰痛」で長期間施術を受けていたが実は悪性腫瘍の骨転移で治療時期を逸したなどの例は多数あります。


これらの健康被害も、究極的には彼らに施術を求めた患者さんの自己責任なので、われわれ整形外科医から見ると可哀想だが対処のしようが無いため、あまり興味を持てませんでした。


しかし冊子を一読したところ、今更ながらに柔整問題の根の深さを理解することができました。諸悪の元凶は、「療養費の受領委任払い」という制度です。


療養費の受領委任払いとは、患者さんは自己負担分だけを支払い、接骨院が保険者負担分の請求を保険者に請求する制度です。


150214



建前上は、患者さんが上記の柔道整復施術療養費支給申請書を熟読した上で署名することになっています。しかし、現実はそうではありません。


以前、所有物件に入居している接骨院に、あいさつがてら施術を受けに行ったことがあります。そして、会計の際に右下の部分だけ穴の開いたクリアファイルを渡されました。


クリアファイルは白いため、署名する書類が柔道整復施術療養費支給申請書だとは今回の冊子を読むまで気付きませんでした。ましてや施術の金額など分かるはずもありません。


接骨院には存在する意義が乏しいことを理解しつつも、自分の所有物件の大事なお客さんなので丁重に扱っていました。今にして思えばお金のために魂を売る行為ですね・・・。


幸い、その物件は既に売却済みのため今ではクリーンな身ですが(笑)、日整会にはがんばってもらって柔整問題の早期解決に取り組んで欲しいものです。




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交通事故で接骨院に通院する患者さんの対応

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所属する地方の整形外科医会の広報で興味深い記事があったので抜粋いたします。
「交通事故診療で接骨院にも通院する患者さんへの対応について」です。


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交通事故で接骨院に通院、あるいは通院予定の患者様へ


① 医療機関(病院・診療所・医院)で治療を受け、さらに接骨院(医療機関ではありません)でも施術を受けておられる患者様へ

医療機関のみに通院されるか、接骨院のみに通院されるか、どちらかで御願い致します。
医療機関(病院・診療所・医院)における”治療”と接骨院における”施術”では、考え方や方法が異なります。このため、接骨院で施術を受けておられる場合には、医療機関での治療を中止させていただくことがあります。


② 医療機関を受診後、接骨院で施術を受け、最後に医療機関での後遺症診断書(接骨院では後遺症診断書は書けません)を希望される患者様へ

症状経過が分からないため、交通事故によるものか、事故以外のものかが判断できません。このため、万一裁判になっても根拠となる資料がありませんので、後遺症診断書は作成できないことがあります。


③ 交通事故後、接骨院にて施術を受け、後遺症診断書を希望されて医療機関に初診として来られた患者様へ

事故後の状態や経過が全く分かりませんので、事故による症状かそれ以外の症状か医学的に証明できません。このため後遺症診断書の作成をお断りする場合があります。


上記のことにつき、ご理解下さいますよう御願い申し上げます。


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なかなか痒い所に手が届く文面です。私が所属している地方医会では、診療前にこの説明書を提示して患者さんの了承を得ることを推奨しています。


臨床の現場では③が最もやっかいですが、さすがに初診から接骨院にしか行っていない向こう見ずな患者さんは少なく、やっかいな人は②のパターンが多い印象です。


接骨院の尻拭いをさせられて訴訟や争いに巻き込まれないように、この文書を受付に掲示、もしくは受付の段階で提示することをお勧めします。私のホームページからダウンロード可能です。



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