昨日の午前は、出張先での外来でした。
30歳台半ばの女性が半年前から続く頑固な腰痛と頚部痛で初診されました。
単純X線像では、両仙腸関節の高度の硬化像を認めました。改訂ニューヨーク基準では強直性脊椎炎(AS)の確実例と診断できます。腰椎や頚椎の増骨性変化は未だ認めませんでした。
3ヶ月以上続く慢性腰痛患者では、脊椎関節炎(spondyloarthritis: SpA)を念頭に炎症性腰痛の診断基準や新ASAS SpA分類基準を参考に早期診断・早期治療を行う必要があります。
炎症性腰痛の2009年診断基準は下記5つの特徴のうち4つを認める場合に、炎症性腰痛と診断されます。この診断基準①に挙げられているように、若年者で注意が必要です。
1.腰痛の発症が40歳以下
2.発症が緩徐
3.運動で軽快する
4.安静で軽快しない
5.夜間痛(起き上がると軽快)
強直性脊椎炎に関しては、単純X線像の仙腸関節所見が特徴的なため診断は比較的容易です。しかし、強直性脊椎炎ではない脊椎関節炎も存在するので注意が必要です。
脊椎関節炎は決して珍しい疾患ではなく、若年者が慢性的な腰背部痛で医療機関を受診する際には結構な頻度で存在することを頭の片隅に置いておくべきかなと思います。
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改訂ニューヨーク基準(Modified New York Criteria,1984年)
A.診断
1. 臨床基準
a)運動により改善し、安静によって改善しない、3ヵ月以上持続する腰痛
b)矢状面、前頭面両方における腰椎可動域制限
c)年齢、性別によって補正した正常値と比較した、胸郭拡張制限
2.X線基準 両側のgrade 2以上の仙腸関節炎、あるいは一側のgrade 3~4の仙腸関節炎
B.等級
1.確実例:X線基準と、1項目以上の臨床基準を満たす場合
2.疑い例:
a)X線基準を満たさないが、臨床基準3項目を満たす場合
b)X線基準を満たすが、臨床基準が一つもみなれない場合
Ⅹ線基準のgrade
grade 0:正常
grade 1:疑わしい変化
grade 2:軽度の仙腸関節炎(関節裂隙の変化を伴わない限局的な骨侵食や硬化)
grade 3:中等度の仙腸関節炎(骨侵食、硬化、裂隙の拡大や狭小化、部分的な強直を伴う)
grade 4:完全な強直
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改訂ニューヨーク基準
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