整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

救急

石鹸使用の創洗浄は有害だった?!

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Medical Tribuneに興味深い記事がありました。
創洗浄はタラタラ洗えばよい。石鹸を使うと再手術率が増える! です。


日常診療で外傷をどのように洗ったらよいのか、その解答(FLOW試験)がNew Engl J Med(2015; 373: 2629-2641)に掲載されています。

  • 洗浄の水圧(高、中、低)と再手術率の間に相関はない!
  • 石鹸で洗うと生食で洗うより再手術率が高くなる! 

つまり、「創はふつうに生理食塩水(生食)でタラタラ洗えばよい、開放創1㎝以下なら生食3L、1cm超えていれば6Lで洗浄です。石鹸の使用はやめておきましょう」 ということです。




これは驚きの論文です。今までの常識が覆されました。挫滅創の患者さんが救急搬送されたら、勢いよく水道水で洗浄して、汚染度合いが強いと石鹸を使用することもありました。


正直言って、石鹸を使用した過去の症例の成績が悪い印象はありません。しかし、RCTの結果だけに無視するわけにはいきません。


これからはできるだけ、勢いは付けずに、かつ石鹸は使用せずに創部をしようと思います。しかし、工場内事故などの油成分の多い症例は本当に石鹸無しでいいのかな???


ちなみに、本日手指挫傷の患者さんが受診したのですが、おもわず石鹸での手洗いを指示してしまいました...。一度身についた習慣はなかなか修正できないものです。






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褥瘡のポケット切開で悩む

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先日、久しぶりに褥瘡患者さんの診察をしました。通常は院内の褥瘡ラウンドが全ての褥瘡患者さんの治療に対応しています。


しかし、上腕骨内上顆部の骨髄炎を伴う感染性褥瘡だったので、併診依頼がきたのです。3次救急病院時代には頚髄損傷患者さんを複数担当していたので褥瘡も治療していました。


しかし、現在の病院では人工関節全置換術ばかりしているので、褥瘡治療は久し振りでした。診察すると、上腕骨内上顆を中心に巨大なポケットを形成しています。


中枢・屈側方向を中心に 3cmほどの深いポケットなので、内部まで有効に治療できていない印象でした。ポケット開放が必要そうですが、念のためガイドラインを確認しました。


Mindsの記載に目を見張りました。どのような場合にポケット開放すればよいかについては、
エキスパートオピニオン以外にエビデンスはほぼ無いとのことです。







これには驚きましたが、どうみてもポケット内に感染性組織が滞留しているのでポケット開放は必要そうです。そこで、ポケット切開することにしましたが、どう切開しよう...。


前述のように、中枢・屈側方向中心ですが全周性の深いポケットです。最も深いのは屈側ですが、安易にその方向に切開すると、上腕骨の処理が必要になった場合にやっかいです。


そこで、上腕骨の骨髄炎手術を想定して、中枢方向にポケット切開することにしました。最も深い屈側方向に切開すると、次の手を打ちづらくなります。


たかが褥瘡のポケット切開ですが、少し考えさせられました。そして、このあたりの実践的な資料は残念ながら存在しないようです。





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病院勤務は社会勉強になる?!

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先日、外来受付で最近まで入院していた患者さんに呼び止められました。労災の事務関係の手続きで病院に来たらしいですが、会うなり怒涛のように愚痴を聞かされました...。


特に私に対するクレームではないのですが、とにかくネガティブなオーラがすごいです。ほんの2~3分話しただけなのですが、こちらまですごくネガティブな気持ちになりました。


ここまでくると一種の才能かと思うほどのネガティブオーラです。こんなに酷い人は珍しいですが、入院中は誰に対しても常に同じ態度だったことを思い出しました。


私たちは職業柄いろいろな人に会いますが、病院という場所柄かネガティブな人の含有率が多い気がします。


そして、ネガティブな人に対しては、無意識のうちに近づかないようにしようという気持ちが芽生えている自分に気付きました。


おそらく、多くの人が同じように感じているのではないかと思います。このことは、自分自身の社会に対するかかわり方のアンチテーゼとして非常に重要な経験だと思いました。


やはり、ネガティブさを前面に押し出して社会に接しているとロクなことが無いことを実感します。できるだけ関わり合いを持たないようにしようと思ってしまうので...。


逆に言うと、朗らかにしているだけでずいぶんトクだと思います。人の振り見て我が振り直せではないですが、病院にいると結構社会勉強になると感じました。






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肺塞栓症(PE)で重要な 2症状

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先日、術後2日目の患者さんの呼吸状態が突然(?)悪化しました。
早朝の検温時に、SaO2=80%前半に低下していました。HR>100/分で頻脈もあります。


幸い、意識障害や呼吸苦などは無く、傍目にはそれほど重篤感はありません。それでも主治医的にはかなり焦ってしまいます。これは PEを併発したかな...。


人工関節術後患者さんなので、術前にDVTが無いことを確認したうえで術後1日目からリクシアナを経口投与しています。しかし、そんなことでは何の安心感もありません。


かなり前に重篤な 症候性PEを経験したのですが、最近は忘れていました。そこで、ザザッと PEについてのおさらいをしました。まず症候性 PEの代表的症状は下記2つです。


  1.  呼吸不全
  2.  頻脈


この2つがそろっている術後患者さんは PEを念頭に置いて検査を迅速に進めるべきでしょう。そして、検査は下記を行います。


  •  胸部CT、Xp
  •  心エコー、下肢静脈エコー
  •  血液生化学検査
  •  動脈血ガス


上記には比較的迅速に施行可能だと思います。特に心エコーでの右心負荷の有無は確認したいところです。誤嚥性肺炎の可能性もあるので胸部CTは必須でしょう。


高齢者は腎機能低下している方が多いので、造影CTを施行するか否かは状況しだいですが、心エコーで右心負荷(-)なら無しでもいいかもしれません。


そんなこんなでワタワタと検査してみましたが、結果的には PEではなく肺炎を併発していたようです。高齢者の人工関節置換術後の呼吸不全はこちらの心臓にも悪いですね...。








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MP関節でギプスに干渉しない巻き方

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最近、立て続けに子供のギプスを巻く機会がありました。ギプスをキレイに巻く技術は、整形外科医にとって基本中の基本です。


そうは言っても、常に100点満点のギプスを巻けているのかと言うと、少なくとも私の場合は恥ずかしながらそうではなさそうに感じています。


忙しい外来の合間にギプスを巻くので、どうしても粗が出てしまいます。もちろん、ニッパーなどで成型すると問題ないのですが、時間が無いので一発でキメるのが理想です。


手関節のギプスの場合、MP関節にかけないことは常識です。しかし、特にギプスを巻き終えた段階で、100% MP関節を回避できているかは怪しいと思っています。


このような経験から、手関節のギプスを巻く際は母指IP関節部との位置関係を常に意識することでMP関節にかかることを回避するように心がけています。


これは、母指IP関節の高さが残りの4指のMP関節の高さに相当するためです。このため、母指MP関節を目安にギプスを巻くと、ほぼMP関節にかからずギプスを巻くことが可能です。


このようなコツを知っているだけで、美しい(?)ギプスを巻くことが可能だと思います。MP関節巻き込みで困ている先生がいらっしゃれば一度実践することをお勧めします。







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