整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

整形外科

橈骨遠位端骨折の rim plateは難しい!

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先日、高齢者の橈骨遠位端粉砕骨折がありました。
いわゆる rim fractureではありませんが rim plateの使用が望ましい症例だと判断しました。



キャプチャ - コピー



私は、rim plateの使用経験がありません。このため、プレートの設置位置が感覚的につかめずに苦労しました。


本症例では Watershed lineは破綻しておらず、十分に触知できる状況です。しかし、rim plateではWatershed lineを覆ってしまうので、イマイチ設置部位に自信を持てないのです。


透視下に至適位置を探りますが、骨粗鬆症が強いために橈骨遠位端の形状が分かりにくいです。このため、プレート設置位置決めで普段の 3倍ほど時間がかかってしまいました。


最終的には、
イメージ画像としては通常タイプのプレートと大差無いことが分かって手術が終了しました。しかしここに至るまでに何度も仮固定→透視を繰り返しました。



Watershed lineを越えてプレートが橈骨掌側を覆ってしまうので、整形外科医的には非常に気持ち悪い内固定材料です...。


後方視の判断にはなりますが、本事案では rim plateではなく通常タイプのプレートでも対応できた可能性が高いです。これからは通常タイプで対応できるものは通常タイプにしよう。






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足関節脱臼骨折では三角靭帯縫合が必要か?

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先日、足関節脱臼骨折(PE stage 4)の手術を施行しました。内側は三角靭帯性裂離骨折がありました。


これまで、三角靭帯損傷のみの症例では内側を展開して三角靭帯を縫合することはせず、術後3週間ほど外固定して治療していました。


裂離骨片が小さいので、今回も三角靭帯損傷に準じて保存的に治療しましたが、どうも内側の不安定性が残存しているように見えます。



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外固定を除去した状態で撮像しているので、外固定での評価もしなければなりません。シーネ装着下に撮像すると、それなりに戻っていました。


このため外固定を 3週間併用しようと思いますが、これまで無視していた三角靱帯損傷は本当に保存治療でよいのか? という疑念を抱くようになりました。


何度か三角靱帯を縫合したことがありますが、比較的しっかり縫合することが可能です。しかし、今までは手術しても保存治療でも成績に大差は無いと考えていました。


今回のように内側の不安定性をうかがわせる所見をみたのは初めてなのですが、もしかしたら裂離骨片の存在が影響しているのかもしれません。


PEでは骨間靱帯損傷があるので、術中に内側不安定性を正確に判断するのは難しいと思います。皆さんどうしているのでしょうね...。





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褥瘡のポケット切開で悩む

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先日、久しぶりに褥瘡患者さんの診察をしました。通常は院内の褥瘡ラウンドが全ての褥瘡患者さんの治療に対応しています。


しかし、上腕骨内上顆部の骨髄炎を伴う感染性褥瘡だったので、併診依頼がきたのです。3次救急病院時代には頚髄損傷患者さんを複数担当していたので褥瘡も治療していました。


しかし、現在の病院では人工関節全置換術ばかりしているので、褥瘡治療は久し振りでした。診察すると、上腕骨内上顆を中心に巨大なポケットを形成しています。


中枢・屈側方向を中心に 3cmほどの深いポケットなので、内部まで有効に治療できていない印象でした。ポケット開放が必要そうですが、念のためガイドラインを確認しました。


Mindsの記載に目を見張りました。どのような場合にポケット開放すればよいかについては、
エキスパートオピニオン以外にエビデンスはほぼ無いとのことです。







これには驚きましたが、どうみてもポケット内に感染性組織が滞留しているのでポケット開放は必要そうです。そこで、ポケット切開することにしましたが、どう切開しよう...。


前述のように、中枢・屈側方向中心ですが全周性の深いポケットです。最も深いのは屈側ですが、安易にその方向に切開すると、上腕骨の処理が必要になった場合にやっかいです。


そこで、上腕骨の骨髄炎手術を想定して、中枢方向にポケット切開することにしました。最も深い屈側方向に切開すると、次の手を打ちづらくなります。


たかが褥瘡のポケット切開ですが、少し考えさせられました。そして、このあたりの実践的な資料は残念ながら存在しないようです。





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駆血時間は筋肉量による

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先日、大学の先生からターニケットについての興味深い話をお伺いしました。四肢の粉砕骨折では、長時間の駆血を強いられることも稀ではありません。


ターニケットによる駆血時間が 2時間30分を超えてくると、少し不安になってきます。では、ターニケットによる四肢の駆血に耐えうる時間に与える要素は何なのでしょうか?


それは駆血下の筋肉量だそうです。筋肉は作動していなくても常に酸素を消費しています。このため、筋肉量が多い部位よりも少ない部位の方が駆血に対する耐性が高いです。


このため、一般的には下肢よりも上肢の方が筋肉量が少ないため、長時間の駆血に耐えられます。この話を更に進めると、指の駆血ではかなり長時間の駆血にも耐えられるのです。


この話を聞いて、ターニケットによる駆血の考え方に合点がいきました。前腕両骨骨折などでは長時間の駆血を強いられることが稀ではありません。


手術時間が長くなって一旦ターニケットを外すと組織の腫脹が増悪するため、できるだけ避けたいと思う場面もあります。


このようなケースでは、手術を終了できる目途がある程度ついているのであれば、勇気をもってターニケットの駆血時間を延長する選択肢もあるかもしれません。





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爪外傷はアロンアルファで「瞬間的」に治す

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先日、久し振りに足趾の爪外傷の患者さんの治療を行いました。母趾末節骨開放骨折に併発しており、足趾の爪は中枢側と末梢側で割れていました。


周知のように、爪はシーネのような役割を果たします。したがって、爪が割れていても、可能なかぎり抜爪しない方が骨癒合率も高まり、患者さんのADLも向上します。


このような爪外傷を治療する機会は、整形外科医よりも救急科や外科の医師の方が多いかもしれません。そしてありがちなのは爪を抜爪してしまうことです。


爪が無いと末節骨の偽関節化率が高まり、また爪変形もきたしやすくなります。このような症例では、私は爪をアロンアルファなどの瞬間接着剤で割れた爪表面を修復しています。


 
tsume

(ファミリー薬局から抜粋)



爪甲が爪床から剥がれていない場合、アロンアルファなどの瞬間接着剤で割れた爪表面を修復すると、あっという間に爪が「治るのです。


爪甲が爪床から剥がれている場合であっても、できるだけ抜爪しません。剥がれかかった爪を周囲に縫合した後、アロンアルファで爪甲の修復を行います。


手の爪は1日あたり約 0.1mm伸びます。つまり1ヵ月で約 3mmしか伸びません。このため抜爪すると完全に生え変わるのに約 3~6ヵ月も掛かります。


更に、足趾では1年近く掛かってしまうのです。その間爪が無い生活を送らなければいけないので、患者さんのADL上も快適とは言い難い状況になります。


具体的な手法は下記のごとくです。
  1. 割れた爪同士をぴったり合わせる。
  2. 2つの爪の間から血液もしくは淡血清の滲出液が爪表面に漏出するので、ガーゼ等でふき取って爪甲表面を乾いた状態にする
  3. 瞬間接着剤を爪が割れている部分に塗布する
  4. 瞬間接着剤が固まるまで数分間は爪をぴったり合わせたまま圧迫力を加え続ける


ピットフォールは、①瞬間接着剤が固まるまで数分間かかること ②塗布する瞬間接着剤の量が多いと爪郭にこぼれたり固着するのに時間がかかるので少なめにすること です。






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