今日の午前の手術も、人工股関節全置換術(THA)でした。
臼蓋形成不全の程度が強く、大腿骨頚部過前捻だったのでS-ROM-Aを使用しました。
S-ROM-Aはほぼどのような症例でも対応できる優れた機種ですが、それでも寛骨臼周囲の骨棘が大きいとインピンジして脱臼することがあります。
今日の方はトライアルの段階では、さほど易脱臼性が無かったのですが、インプラントを挿入後にトライアルすると、後方への脱臼傾向を認めました。
指を寛骨臼と大腿骨に間に挿入して後方脱臼肢位にすると、明らかにインピンジしていました・・・。おそらく、ステム挿入時の微妙な前捻角の誤差がインピンジにつながったのでしょう。
しかし、インプラントは挿入した後のなので、いくらS-ROM-Aといえども簡単には前捻角の再調整はできません。そこで寛骨臼前方の大きな骨棘を切除することにしました。
指で確認しながら、約15mm×20mm×10mm程度の大きな寛骨臼前方骨棘を切除したところ、著明に後方への易脱臼性が消失しました。やはり骨棘によるインピンジが原因だったようです。
THAの易脱臼性の有無は僅かな差で決まります。したがって、術中に易脱臼性を見つけたら、入念にどこに易脱臼性の原因があるのかを見つけ出す必要があります。
術後に持ち越すと後々やっかいなことになることがあるので、術中にできるだけがんばって原因究明およびその対策を行っておくべきでしょう。
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股関節学
易脱臼性
今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
高齢の骨盤後傾が著明な方で、広義の急速破壊型股関節症(RDC)でした。
RDCは骨質が脆弱なため手術が難しいことが多く、私の中ではやや苦手意識があります。更にこの方の股関節は可動域が広く、脱臼リスクが高い症例と判断せざるを得ませんでした。
私は股関節外科医なので症例に応じてアプローチを変えます。今回の問題点は易脱臼性なので前外側アプローチを選択しました。後外側アプローチに比べて関節の安定性が抜群だからです。
私は、①体型が普通+②易脱臼性の症例は前外側アプローチを、若年者で早期の社会復帰が必要な症例では梨状筋温存の後外側アプローチを選択しています。
これらに当てはまらない症例はケース・バイ・ケースですが、最近では梨状筋温存の後外側アプローチを好む傾向にあります。やはり後外側アプローチは、術者も患者さんも楽ですから・・・
※ 股関節が専門ではない整形外科医は、前外側でも後外側でも良いので自分の得意なアプローチをひとつ決めて、その経験値を高めることを目指すべきだと思います。
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