整形外科医のブログ

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橈骨遠位端骨折

橈骨掌側プレートで CS法をオプションに変更

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先日、橈骨遠位端骨折の掌側プレートの手術を施行しました。コロナ禍の影響のために、久しぶりの手術でした。


数ヵ月(?)ぶりの手術だったので、入念に過去の手術記録を確認してアタマの中でシミュレーションしたうえで手術に臨むことにしました。


これまでの私は、橈骨遠位端の palmar tiltを回復するために CS法(condylar stabilizing 法)をルーチンで施行していました。


しかし、CS法をいつもしていると、palmar tiltが過剰に整復されてしまう症例を散見しました。このため、今回は先祖返りして CS法は基本的に施行せずオプション扱いにしました。


つまり、
プレートの曲面に合わせて橈骨を整復していき、目視で橈骨掌側とプレートの曲面が合っている場合には CS法を施行しないことにしたのです。


この1ヵ月で 2例ほど手術を施行しましたが、まずまずの整復位を獲得できました。慣れた手術とは言え、本当にその手技が適切なのかはときどき考える必要がありそうです。






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橈骨遠位端骨折は左側に多い?!

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先日、
左側の橈骨遠位端骨折の手術がありました。
いつものように掌側プレートを用いて手術をしたのですが、アレっ?と思いました。



今回もまた左側の手術か。。。何となく違和感があったので手術記録を見返してみると、なぜか左側が多いことに気付きました。


世の中には右利きが多いので、利き手の手術が多くなるような先入観がありました。しかし実際に自分が執刀した症例の手術記録を見ると、圧倒的に左側が多いのです。


おかしいな~と思って機械メーカーの方に確認すると、そのメーターにおいても過去10年間のデータでは、おおよそ右側:左側= 3:7 程度であるとのことでした。


この返事には驚きました。どうやら橈骨遠位端骨折には左側が多いということは、全国的な傾向のようです。それにしても、なぜ橈骨遠位端骨折は左側が多いのでしょう?


右側が利き手の人が多いので、転倒する際に思わず右手をついてしまいそうなものです。いくら考えても左側が多い理由が分かりません。どうしてなのでしょうね・・・






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保存的治療のコツ: 橈骨遠位端骨折

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日本整形外科学会雑誌のVol.91 No.7 July 2017の451-458に興味深い教育研修講座が記載されていました。いしぐろ整形外科の石黒隆先生による「手の骨折に対する保存的治療」です。


教育研修講座内で石黒先生もおっしゃられるように、最近の学会報告は手術的治療に偏り過ぎている傾向があります。そして勤務医の場合は、実臨床でも手術的治療に偏っています。


特に、私立病院では経営陣から成果を求められるため、積極的に手術的治療が採用される傾向にあります。今回の教育研修講座は、その風潮に対するアンチテーゼのようです。




橈骨遠位端骨折


整復操作はChinese finger trapを用いて牽引を15分間加えます。その後、牽引を外して助手に肘を90度屈曲位に保持させて整復します。


整復のポイントは、末梢骨片を恥し、転位している側(骨膜の残存する側)を過伸展させながら末梢に牽引し、末梢骨片の基部を押し込むようにして一気に整復します。



11 - コピー

(日本整形外科学会雑誌のVol.91 No.7 July 2017の451ページより抜粋)



整復後は手関節軽度掌屈・肘屈曲位にSugar tongs型のギプスシーネを当てます。手掌部のギプスシーネは近位手掌皮線までとして、MP関節の屈曲制限を起こさないようにします。


高齢者の場合、20度を超える背屈転位や3mm以上の橈骨短縮を起こさない限り、橈屈転位していても機能的問題を残すことはないそうです。





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橈骨遠位端骨折治療の落とし穴

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少し前に橈骨遠位端骨折に対して、ロッキングプレートによる骨折観血的手術を施行しました。橈骨のアライメントは良好で、解剖学的整復はバッチリです。


しかし、同時に併発していたTFCC損傷による症状が残存した症例を経験してしまいました。そこで、いくつかのTFCC関連の文献に当たってみたところ、下記が優れていると思いました。



TFCCと尺骨骨折に対する処置 JMIOS No.52 53-61 2009



ロッキングプレートの使用によって、高率に橈骨遠位端骨折の解剖学的整復が可能になり、強固な固定下での早期運動療法が可能となりました。


一方、早期運動療法のために、尺側部損傷には保存治療が行われなくなりました。尺側部損傷の主体はDRUJに関する損傷です。特にDRUJの不安定性があると尺側痛が残存します。


慢性期の手関節尺側部傷害の手術例は、50歳台以前の若年者に限局しています。このことから若年者では、観血的手術後のDRUJ不安定性によって下記期間の外固定が推奨されています。



  • DRUJの不安定性あるが亜脱臼しない(尺骨茎状突起骨折の転位なし): 3週間
  • DRUJが亜脱臼する(尺骨茎状突起骨折の転位が大きい、TFCC完全断裂): 6週間



私の経験でも、高齢者の尺側部痛は問題にならないことが多いですが、若年・壮年層では治療に難渋するケースを散見します。


これらの方には、敢えて手関節に対する早期運動療法を控えて、術後は良肢位での外固定を検討するべきかもしれません。






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橈骨のRim Fractureの手術治療

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先日、橈骨遠位端骨折の手術がありました。
いわゆる、Distal Radius Volar Rim Fractureでした。


rim fracture - コピー



Volar Rimとは、Watershed lineよりも末梢側の橈骨遠位端関節内の部分を指します。現在では、watershed lineを越えない先端形状や設置位置を考慮したプレートが主流となっています。


Rim Fractureでは、Watershed lineよりも末梢側のVolar Rimの骨折なので、このようなwatershed lineを越えない先端形状のプレートでは、十分な固定性を得ることができません。


このため、現時点ではDePuy-Synthes 社の Volar Rim Plate でしかこのようなタイプの骨折には対応できません。こちらが、このプレートを紹介しているホームページです。




キャプチャ - コピー



橈骨遠位端の Rim Fractureは比較的珍しい骨折です。この骨折の存在を知らないと、Volar Rim Plateを選択しない可能性があります。骨折の存在だけでも知っておきましょう。





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