今日の午前は外来でした。6日前に赤ちゃんを抱っこして入浴していたところ、突然左手の激烈な痛みとしびれを発症した若い女性のフォローアップをしました。


この方の初診は今週の月曜日で、初診時には激烈な左母指から環指の痛みとしびれを訴えていました。待合室で気分が悪くなって倒れたほどの痛みだったようです。


手関節の腫脹も軽度認めましたが、発赤はありませんでした。正中神経領域の発汗もあり、決してオーバーに言っているのではなく、本当に気分が悪くなるほど痛かったことが分かります。


神経伝導速度ではdistal latencyの遅延を認めませんでしたが、手関節MRIでは手根管内の滑膜炎を疑う所見を認めました。正中神経もリング状になっており、腫脹しているようです。



CTS 2



一種の手根管症候群であることは間違い無さそうですが、ここまで急激に発症するタイプは経験がありません。血液生化学検査で炎症反応の上昇は無く、化膿性屈筋腱炎ではなさそうです。


症状が激烈だったので緊急手術の要否を検討しましたが、循環障害は無さそうだったので外固定と消炎鎮痛剤およびプレガバリン(リリカ®)処方で経過観察することにしました。


幸い2日ほどで症状が軽快したようで、本日時点で症状はほぼ消失していました。結局、原因が良く分からなかったのですが、何らかの原因で正中神経炎を発症していたのかもしれません。



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