腱性マレットの治療で困ったことはないでしょうか? 一次縫合の成績は良好とは言えず、かと言って伸展装具での保存治療もイマイチです。
伸展装具は8週間常用する必要がありますが、多くの患者さんは途中でドロップアウトしてしまいます。
主治医・患者さんとも強固な意志が無い限り、結果を出すことが難しいのが現実です。そうは言っても、腱性マレットは一定頻度で発生します。では、どうすればいいのか?
- 山中 一良, 佐々木 孝, 栩木 弘和, 奥山 訓子, 高尾 努:腱性マレット指に対する治療成績:日本手の外科学会雑誌(0910-5700)17巻2号 Page115-118(2000.09)
上記の済生会神奈川県病院の山中一良先生の論文は、もしかしたら腱性マレット治療の救世主になるかもしれません。
Kirschner鋼線によるDIP関節伸展位固定による治療成績を検討されています。ピンニング群では成績優の症例が多かったとのことです。
単にDIP関節を伸展位固定するだけなので、手技は非常に簡単です。Kirschner鋼線を8週間留置するので、皮下に埋没させるといいかもしれません。
実際にこの治療法を経験した先生にお伺いすると、かなり良い成績だったとおっしゃられていました。腱性マレットではKirschner鋼線でのDIP関節伸展位固定も要検討でしょう。
広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。