整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

治療

高尿酸血症はCKDのリスク因子

このエントリーをはてなブックマークに追加

Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
高尿酸血症はCKDのリスク因子に です。




従来、高尿酸血症と高血圧,メタボリックシンドロームには密接な関連が観察されていたが、最近、慢性腎臓病(CKD)との関連が注目されつつある。


琉球大学の井関邦敏氏は疫学研究から、高尿酸血症はCKDのリスク因子の1つであり高尿酸血症の治療は生活習慣の改善に加えて尿酸降下薬が推奨されることを報告した。


井関氏らは、血清尿酸値が高いほど腎機能の悪化や末期腎不全発症の割合が多いことを、またメタボリックシンドロームを有する者はCKD発症率が高いことが報告している。  


尿酸値の増加がeGFR低下の独立したリスク因子であった。これらの結果を基に同氏らはCKD診療ガイドライン2012の重症度分類を日本人用に改変してガイドラインを作成した。


高尿酸血症の治療は、痛風合併例では尿酸降下薬の使用量を腎機能に応じて減量して投与し、痛風非合併例は尿酸降下薬を使用する前にリスクとベネフィットを勘案する。


同氏は「CKDは心血管障害のリスクであり、高尿酸血症はCKDのリスク因子の1つである。痛風・高尿酸血症の治療には生活習慣の改善に加えて尿酸降下薬が推奨される。


新規高尿酸血症治療薬の登場により中等度の腎機能低下例でも腎機能の改善が期待できるようになったが、前向き介入研究が必要である」とまとめた。


                                 




先日、尿酸には酸化ストレスに対する保護作用があり、認知症を予防する効果が見込めるという報告がありましたが、今回は尿酸はCKDのリスク因子であり、尿酸=悪玉 という報告です。


暴飲暴食の生活習慣を送っている多くの高尿酸血症患者さんを外来で治療している身としては、高尿酸血症の治療は”臭い物に蓋をする”的な印象を抱いていました。


つまり、いくらこちらががんばって高尿酸血症の治療をして痛風発作を予防しても、暴飲暴食による肝機能障害や耐糖能低下は避けることはできないという半ば投げやりな心境です。


しかし、高尿酸血症の治療がCKDの予防につながるのなら、高尿酸血症の治療のやりがいも少し出てくるような気がします。



       
★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


 
 一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。


                      

 症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方





姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。


                       


       類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる






どうする? 大腿骨不顕性骨折の治療

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、転倒後から右股関節部痛を訴えて歩行不能となった高齢者が入院しました。
単純X線像・CTでは明らかな骨折を認めませんでした。


念のためMRIを施行したところ、転子部にT1WI 低信号・T2WI 等~高信号・脂肪抑制画像では高信号の帯状領域を認めました。


画像上は、bone bruiseもしくは不顕性骨折(occult fracture)を疑います。身体所見では股関節の他動時痛は軽度のみで、少なくとも床上ではADL制限がありません。


一応、骨折だとは思いますが、治療方針をどうするかで悩みました。大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (初版)では、occult fractureでは骨接合術を推奨すると記載されています。


しかし、エビデンスは無いとのことでした・・・。ちょっと無責任ですね(笑)。私は、しばらく免荷して仮骨形成を認めた段階で荷重訓練を開始すると、転位なく骨癒合が得られた経験があります。


早期に手術を施行するか否かは考え方次第だとは思いますが、私はoccult fractureで保存治療から手術治療へのコンバート例を経験したことが無いので、今回も保存治療を選択しました。


単純X線像やCTで骨折の有無を判断できない方に、リスクを取って手術を施行するのもどうか? と思ったのです。保存治療で骨癒合することを祈りつつ、慎重に経過観察しようと思います。



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です




                         

             
救急・当直で必ず役立つ!骨折の画像診断




膝関節のタナ障害の治療

このエントリーをはてなブックマークに追加


昨日の午前中はアルバイト先で外来をしていました。
旅行で長距離を歩いてから膝痛が治らないという20歳台の女性が初診しました。


診察すると内側谷に索状物を触知して圧痛もあります。
関節水腫は無く、単純X線像上も明らかな異常所見を認めません。


診断は、もちろん膝関節のタナ障害です。MRIの冠状断で肥厚したタナの存在を
確認できますが、触診だけでほぼ診断はつくと思います。


今回はスポーツが原因ではなく、一過性の膝関節への過負荷が原因なので、
まずは安静と消炎鎮痛剤の処方としました。


スポーツが原因の場合には、日常的な膝関節への過負荷が原因なので
消炎鎮痛剤だけではなかなか治癒しない印象があります。


このような場合には、ステロイドを混注した関節腔内注射が効果的であるケースが多いと思います。ステロイドは懸濁性の方がよく効きますが、若年者が多いため私は水溶性を選択します。


ステロイドを混注した関節腔内注射を施行しても痛みが収まらない場合には、鏡視下タナ切除術の適応ですが、幸い私はそこまで重度なタナ障害を経験したことはありません。




 ★★ 『 整形外科の歩き方 』でお宝アルバイト獲得のための基本講座を公開中です! ★★


      




爪はできるだけ温存しよう!

このエントリーをはてなブックマークに追加


先週末に救急で指先に重量物が落下して指が潰れたという方が受診されました。
単純X線像で末節骨の粉砕骨折を認めました。


このような指尖部損傷では高率に爪脱臼と末節骨開放骨折を併発します。この方も例に漏れず両方とも認めましたが、爪に関しては末梢側も剥がれており、ほぼ指から剥離していました。


今回のように爪床から爪甲が完全に剥がれている症例であっても、爪床の保護と骨折部の安定性を保つために、爪甲は可能なかぎり温存する方が望ましいと思います。



受傷時正面    受傷時側面  

  











今回は上記のように末節骨が粉砕していて骨折部は非常に不安定な状態でした。爪甲も爪床から完全に剥離していたのですが、シーラー法および爪周囲の縫合を組み合わせて固定しました。





爪整復後正面  爪整復後側面












爪の脱臼を整復して周囲の軟部組織に縫合するだけで、このように末節骨骨折もいい感じに整復固定されました。爪甲が完全に剥がれていても、これだけキレイに整復することが可能です。


外科医師は爪周囲炎の治療の影響のためか、すぐに抜爪する傾向にあります。しかし指の機能温存や爪の美容面の観点から、整形外科医なら爪温存を心掛けるべきでしょう。




       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
  初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です


                   
    

          
          整形外科研修ノート (研修ノートシリーズ)


化膿性関節炎の経口抗生剤選択

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、臨時手術を施行した化膿性膝関節炎の患者さんですが、術後1週間の時点でWBC/CRPとも完全に陰性化しました。非常に良好な経過だと思います。


結局、培養ではMSSAが検出されました。教科書的にはCRP、WBC、ESRが正常化するまで2週間程度は第一世代もしくは第二世代セフェムなどの抗生剤の経静脈投与行います。


その後の経口抗生剤の投与期間に関しては諸説ありますが、第一世代セフェムもしくはペニシリンを感染鎮静化後も3ヵ月程度服用させるという報告が有力だと思います。


ここで問題になるのが、第一世代セフェムの経口抗生剤を採用していない医療機関が多いことではないでしょうか。少なくとも私が勤務経験のある医療機関の多くは採用していませんでした。


フロモックスやメイアクトのような第三世代セフェム以降の経口抗生剤を3ヵ月もの長期に渡って投与することは耐性菌の問題から避けるべきだと思います。


しかし、セフェム系の経口抗生剤はフロモックスやメイアクトしか採用が無いので困ってしまいました。ペニシリン系はどうかと言うと、今回検出されたMSSAの薬剤感受性はPIPCでRでした。


仕方無いので耐性菌を惹起しにくいテトラサイクリン系抗生剤のミノマイシン投与にしました。ミノマイシンは関節リウマチでDMARDsとして使用しているので長期投与も違和感がありません。


このまま感染が再燃しないことを祈りたいと思います。




       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

整形外科を志すなら、キャンベル(Campbell's Operative Orthopaedics)は必須でしょう。ペーパー版以外にも、DVDやe-ditionもあって便利です。更にKindle版は約30% OFFで購入可能です。このような辞書的な医学書は、電子書籍と相性が良いと思います。




                         

             Campbell's Operative Orthopaedics: 4-Volume Set with DVD




アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
ビジネスパートナー募集中
産婦人科
株式会社リコー様のインタビュー記事


管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

・医学博士
・整形外科専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。