本日の朝日新聞朝刊の1面にびっくりする記事がありました。
論文にも「海賊版サイト」です。




本来は有料の学術論文を、無料で入手できる「海賊版サイト」が作られ、国内だけで昨年、延べ約127万件の論文がダウンロードされたことが、琉球大などの解析で分かった。海賊版サイトをめぐっては、漫画などの無断掲載が問題となっているが、研究者の世界にも広がっている実態が明らかになった。  


このサイトは「SCI-HUB」。カザフスタンの女性科学者が、論文の購読費が多額なことに不満を抱いて2011年に作ったとされる。  


出版社のサイトで論文を読むのに必要なIDやパスワードを、正規に購読する大学などに所属する協力者から入手したとみられ、有料の論文を自由に読める状態にした。  


出版社側が受けた被害の総額は明らかになっていないが、17年には中国やインド、アメリカなど世界中で延べ約1億5千万件の論文が、このサイトからダウンロードされたとみられる。  


論文の海賊版サイトが出現した背景には、研究者側が出版社に支払う購読料が年々上がっており、自由に論文を読みにくくなっているという現状がある。  


国立大学図書館協会によると、国立大による論文の電子版の購入費は06年度に約60億円だったのが15年度には約119億円とほぼ倍増。各大学の財政を圧迫している。  


首都大学東京の栗山正光教授(図書館情報学)は「出版社による寡占状態が進み、論文の購読価格が下がりにくいことが、こうしたサイトが登場した背景にある。研究成果をどのように共有するべきか、改めて考えるべき時期に来ている」と話す。  


政府の海賊版サイト対策の検討会メンバーを務める上野達弘・早稲田大教授(知的財産法)によると、国内の著作権法に相当する法律は世界各国でも整備されており、漫画や論文を無断掲載するとこれらの法律に抵触する恐れがある。ただ、「提訴すればサイトの閉鎖や損害賠償の判決が出るだろうが、実効性は未知数だ」と話す。米国では出版社が提訴し、裁判所がSCI-HUBに対して損害賠償を命じたが、サイト側は応じていないという。  


作者が著作権をもつことが多い漫画と異なり、論文の場合、多くは海外の出版社が著作権を有する。国内で経済的な被害を直接受ける人が見つからないこともあり、対策の議論は進んでいない。  


琉球大の大谷周平・付属図書館係長らは、海賊版サイト側が公開しているダウンロード履歴を解析。17年は国内から毎月約4万~15万件がダウンロードされた。15年ごろと比較して2・7倍に増え、医学・バイオ系の論文が多い。科学誌「ネイチャー」を出している出版社の論文が目立つという。  


海賊版サイトへのアクセスがあった国内のエリアを分析したところ、東京や大阪などの大都市圏を中心に全国各地に広がっていることが分かった。  


ダウンロードされた論文の8割は有料のものだが、無料の論文も約2割含まれていた。大谷さんは「検索のしやすさなど、金銭面以外の動機で利用する人もいるようだ」と話す。





試しにPubMedで「THA」を検索して、一番先頭にあった論文をSCI-HUBで検索してみました。検索窓にはDOIを入力したのですが、3分ほどかかったものの文献を閲覧できました!


これはすごい・・・。では、日本語文献ではどうなのか? 医中誌で「足根洞症候群」と検索して、最初に出てくる有料文献のDOIを入力すると・・・


こちらは30秒ほどで閲覧できました!! う~ん、無茶苦茶ですね。。。ただ、操作性が良いことも事実です。見たい文献をすぐに閲覧できるのは革命的なことです。


私が常々感じていることは、有料文献を入手するために、いくつもある文献入手サイトにいちいちクレカ情報を入力して購入する必要があることです。


お金を支払うことに問題は無いのですが、いろいろな
文献入手サイトや各ジャーナルに毎回クレカ情報を入力するのは非常に手間なんですね・・・


できれば、SCI-HUBが有料化して違法な状態から脱却することを切望します。そしてワンストップで世界中の文献を入手できるようになれば最高なんだけどなぁ






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