今日は外来でした。整形外科でもときどき漢方薬を処方しますが、患者さんから何故食前や食間に服用するのか?と訊かれることがありました。


調べてみると、まず添付文書に記載されている臨床試験には食前や食間しか記載がありません。つまり、厚生労働省や製薬会社は、食前や食間の服用しか想定していないのです。


その理由なのですが、漢方の薬物動態から次のように説明されます。漢方薬の薬効成分には配糖体がたくさんついています。配糖体は、消化管内の唾液、消化酵素、胃酸から、薬効成分を守っています。


しかし、配糖体が薬効成分にくっついている限り、体内に吸収されません。そして、この配糖体は腸内細菌によって分解されます。消化管内に漢方薬以外の食物があると、腸内細菌の分解能力が配糖体に集中されません。


つまり、食前・食間などの消化管内に食物の無い時間帯が、配糖体の分解に都合のよい時間帯なのです。このような理由から腸管からの漢方薬の薬効成分の吸収をよくするためには、食前・食間での服用が推奨されるのです。