整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

生物学的製剤

血液透析症例に生物学的製剤投与は?

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先日、学会出張がありました。
外来を休診にするわけにはいかないので、他の病院から応援医師を招聘しました。


次の週の外来に、前週の患者さんが受診しました。この方は血液透析中の関節リウマチ患者さんです。RAのコントロールが難しいので、生物学的製剤(ABT)を導入しています。


4週に1度の点滴なのに何故受診したのか訊いてみると、前週の外来で「血液透析しているので、透析前ではなくて透析後に投与日を変更してもらうべき」と言われたそうです。。。


う~ん、これはいただけないですね。血液透析症例ではMTXが禁忌です。しかし、生物学的製剤に関しては、ほぼ通常通りの使用方法で投与可能です。


具体的には埼玉医科大学リウマチ膠原病内科の秋山雄次先生の下記論文に詳述されています。 血液透析施行例での治療を行う際には、この論文を一読することをお勧めします。 







要約すると下記の如くとなります。
  • DMARDsではSASP、TACを中心に治療を進める
  • 生物学的製剤では①TCZ ②ETN、ADA、ABT の順番で推奨される
  • 生物学的製剤の導入に際しては、通常例以上に感染のスクリーニングおよびモニタリングを徹底する 
  • AAアミロイドーシス合併RAは予後が悪いので、積極的に生物学的製剤導入を検討する


関節リウマチで血液透析施行例の方は、AAアミロイドーシスのために腎不全に移行した症例も多いようです。


したがって、感染のスクリーニングおよびモニタリングを徹底しながら、コントロール不良の症例では、生物学的製剤の導入が推奨されています。







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生物学的製剤の選択方法

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先日の第53回日本リハビリテーション医学会学術総会で、松原メイフラワー病院・院長の松原 司先生の講演を拝聴しました。

松原先生は日本を代表するリウマチ医のひとりです。今回はリハビリテーション医が対象であったため、生物学的製剤の選択方法などの基本的な内容の講演でした。


日本で使用できる生物学的製剤は現在7剤(バイオシミラーを含めると8剤)です。これだけ数が多いとどれを選択すれば良いのか迷いますが、下記のような方針を提示されていました。



  1. 患者さんの経済的な問題をクリア
  2. 患者さんのライフスタイルに合わせて点滴・皮下注射を選択
  3. MTX使用可、もしくは使用不可で下記の選択基準とする


MTX使用可の場合

  • 全ての生物学的製剤が使用可能
  • 早い効果を強く希望する場合: IFX, CZP
  • CRPが高い、SAA高値: TCZ
  • 増量の必要性が見込まれる場合: IFX, ADA, GLM
  • 継続率を重視: ETN, TCZ, GLM
  • 免疫異常が強い患者: ABT


MTX使用不可の場合

  • 第1選択: TCZ
  • リスクの高い患者、高齢者: ABT
  • 第2選択: GLM, CZP 



上記の①をクリアしないことにはそもそも話になりません。場末の病院においては、実はこの点が最も問題になることが多いです。


私も②を最も重視しています。最近では自己注射に対して抵抗感の少ない方が増えてきているので、皮下注製剤を処方する機会が増加しています。


小規模病院では呼吸器内科医師や肝臓が専門の消化器内科医師が常勤医で居ない施設が多いと思います。このため私は安全第一に徹しており、ABTを選択することが多いです。


整形外科医である限りは、関節リウマチの患者さんを避けて通ることはできません。できるだけ標準に近い方法にしたがって、生物学的製剤を選択しようと思います。




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消費税は医薬品にも掛かるのか!

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日本リウマチ学会から送られてくる News Letter リウマチ No. 48 を拝読していると、リウマチ科を標榜して開業されている先生のコラムがありました。


平成29年4月から消費税が10%へ増税されるので、高価な生物学的製剤を多用するリウマチ科クリニックは経営が厳しくなるという趣旨でした。


「消費税増税って、医療機関が仕入れる医薬品にも掛かるのか!」 という超基本的なことを今更ながら知って驚きました。開業医の先生が聞けば、バカかこいつは? と思うことでしょう(笑)。


このことがきっかけで医薬品に掛かる消費税について調べてみると、高価な医薬品を多用する医療機関の危うさに気付きました。医薬品は下記のようなルートで医療機関へ流通します。



製薬会社 → 卸業者 → 医療機関



卸業者から医療機関へは薬価から割り引いた価格で納入されます。この割引価格を薬価差と言いますが、厚生労働省の試算では全国的な薬価差は平成23年度時点で8.4%だったようです。


8.4%もサヤを抜けるのなら、医療機関はとても美味しいじゃないか! と思うのは早計です。医療費は非課税なので、薬価差8.4%から消費税5%を支払うと残る差額は3.4%となります。


もし常に100%の医薬品を使用して在庫やデッドストックがゼロであれば、薬価差3.4%は医療機関の利益となりますが、実際にはそのようなことはあり得ません。


薬価差3.4%程度で、2年毎の薬価改定による1~5%の薬価引下げやデッドストックの差額を賄うのは非常にリスキーです。そしてこのリスクは薬価が高ければ高いほど顕著となります。


このため、高価な生物学的製剤を多用するリウマチクリニックは、経営的にはあまり好ましい状況ではないと言えます。大切なのは売上の大きさではなく手元に残る利益ですから・・・


私は素人的な考え方で、高価な生物学的製剤をバンバン使うリウマチクリニックはさぞ儲かるのだろうなと思っていましたが、とんだ勘違いだったようです。


経営上のリスクを犯してまで、高疾患活動性の関節リウマチ患者さんの治療にあたっているリウマチクリニックの先生方には頭が下がります。 




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ファーストバイオは薬価次第!?

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最近の整形外科領域における製薬会社主催の薬品説明会の定番は、関節リウマチの生物学的製剤とPTH製剤などの骨粗鬆症治療薬だと思います。


両者とも非常に高価な薬品群なので、製薬会社も販売に力を入れています。さて、定番化した薬品説明会ですが、とある製薬会社主催の関節リウマチの講演会に参加してきました。


テーマはその製薬会社が販売する生物学的製剤に関する学術研究の結果でしたが、情報交換会の挨拶で、とある現役を退かれた関節リウマチ界の重鎮の先生のひとことが印象的でした。


いわく、「生物学的製剤の第一選択薬になるためには、薬価の引き下げが最も重要である」とのことです。「薬価が引き下がれば自然に第一選択薬となる可能性が高い」という持論です。


この言葉は、まさに至言だと思います。2014年9月現在、日本では7種類の生物学的製剤が使用可能です。それぞれ特徴はありますが、効果はほぼ横並びであることが判明しつつあります。


こうなってくると、医師側からは①安全性 ②継続率 ③バイオフリーの可能性、患者側からは①薬価 ②投与方法 が薬剤を選択する上での重要なポイントとなってくると思います。


しかし、最終的には患者さんに治療を開始するか否かの決定権があるので、やはり”薬価”が生物学的製剤の第一選択薬として最も大きな要素となる可能性があるのです。


そういう観点からTCZやABAが生物学的製剤の第一選択薬となる可能性があります。両剤ともTNF阻害薬の2番手的な扱いですが、EULAR 2013では両剤とも第一選択薬に加えられました。


薬価で第一選択薬を決定するとは何事か!と関節リウマチのお偉方から批判を受けそうですが、実際に費用負担する患者さんに対して”武士は食わねど高楊枝”は通用しないと思います。



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関節リウマチ患者さんの肺炎対策

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関節リウマチの患者さんの治療をしていると、肺炎等の併発が心配になります。ある程度避けることができない合併症なのですが、併発するとその後の治療に大きな悪影響を及ぼします。


例えば生物学的製剤投与中の方に肺炎を併発した場合、主治医である私達だけでなく患者さん自身が怖がってしまい、生物学的製剤の再開を躊躇してしまうのです。


ある一定の確率で肺炎などの感染症を併発することは仕方が無いことですが、内科系リウマチ医に肺炎対策を御伺いする機会があったのでご紹介します。


関節リウマチの方は、いわゆる「リウマチ肺」の初期病変として、気管支拡張症様の変化を併発することが多いそうです。このため正常者と比べて肺炎や気管支炎を併発しやすくなります。


この先生は、関節リウマチでMTXや生物学的製剤を投与している患者さんにオゼックスを屯用として10錠ていどお守りとして処方しているそうです。オゼックスはキノロン系の抗菌薬です。


患者さんに、上気道炎の症状が発生したら1~2日の間はオゼックスを毎食後に服用するよう説明します。そして、2日経っても症状が軽快しなければ、内科を受診してもらいます。


このようにオゼックスを予防投与することで、重篤な肺炎に移行する前に予防線を張っておきます。患者さんのオゼックス過剰服用が危惧されますが、意外と皆さん自制している印象です。




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