先日、大学の手の外科の先生から、ばね指に対する腱鞘内注射で興味深いお話をお伺いしました。それは「痛くない」腱鞘内注射のコツです。


腱鞘内注射は痛いことで有名です。施行前に患者さんにあらかじめ痛いことを言うのですが、実際に施行しても痛いので患者さん的には嫌な注射です。


ところが、
腱鞘内注射をそれほど痛くなく施行することが可能だそうです。その手法とは、手指の基部側面から刺入して、基節骨の背腹中央にコツンと針先を当てます。


基節骨に針先を当ててから少し引き抜いて、やや掌側に向けて針先を腱鞘内に進めます。針先が腱鞘内に到達した時点で薬液を注入するという手法です。


なぜ痛みがマシなのかというと、手指の側面は手掌と比べて知覚神経の密度が低いからだそうです。というか、手掌には異常なほど多くの知覚神経終末が集中しています。


このため、手掌に注射を施行するとトンデモなく痛いのです。手掌を回避するだけで、
腱鞘内注射がずいぶん楽になります。なるほど、患者さんには朗報の手技ですね!








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