外来をしていると、弾発指の患者さんを診察する機会が多いです。
弾発指の原因として、過去の超音波画像を比較した研究では下記の2つが報告されています。


1. A1 pulleyの肥厚
2. 屈筋腱の腫大


上記以外にも掌側板が関与している可能性もあります。大阪掖済会病院 手外科・外傷マイクロサージャリーセンターの田中祥貴先生の論文によると下記のような結果でした。


弾発症状を認めた弾発指群   : A1 pulley肥厚+屈筋腱断面積増大+掌側板の厚さ増大
弾発症状を認めない弾発指群: A1 pulley肥厚+屈筋腱断面積増大


一方、ステロイド腱鞘内注射施行群と非施行群の比較では、屈筋腱断面積に有意差は無かったが、A1 pulleyと掌側板の厚さは有意に減少したそうです。


このことから、屈筋腱の腫大は不可逆的変化であることに対して、A1 pulleyや掌側板の肥厚は可逆的変化と考えてもよいのでしょうか?


いずれにせよ、A1 pulley肥厚や屈筋腱腫大だけではなく掌側板肥厚も、弾発症状発生の原因となっているようです。今回は、A1 pulleyや屈筋腱腫大の単独因子では無いことを勉強しました。



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