先日、80歳台前半の方が腰痛で初診されました。
1週間前から誘因なく疼痛が発症したとのことです。
歩行は何とか可能ですが、かなり痛そうです。単純X線像では、臥位・座位側面像の比較でも著変ありません。そこで MRIを施行しました。
矢状断では L3, 4椎体に高信号領域を認めるものの、骨折ではなく OAっぽいです。念のため冠状断も確認しました。何となく違和感を感じます...。
よく見ると右腸腰筋が腫大しているではありませんか!もう一度矢状断を確認すると、L3/4の右外側端で椎間板の一部に高信号領域を認めます。
急いで血液生化学検査を施行すると、WBC/CRP 9000/8.7で、ESR 1Hが 73mmでした。どうやら腸腰筋膿瘍および化膿性椎間板炎のようです。ちなみに熱発はありませんでした。
脊椎圧迫骨折しかアタマになくて、化膿性椎間板炎は想定外でした。今回の教訓は、STIRの正中矢状断で椎間板の高信号領域がなくても、化膿性椎間炎を否定できないことでした。