先日の外来で、3日前からの激烈な股関節および臀部痛の50歳台半ばの女性患者さんが初診されました。右股関節部を軽度屈曲した状態で入室されました。
この肢位はちょっと嫌ですね。思わず、腸腰筋膿瘍を連想してしまいました。おそるおそる単純X線像を確認すると、な~んだコレかと安心しました。
右大腿骨大転子部のやや中枢側に線状の石灰沈着を認めます。いわゆる石灰沈着性中殿筋腱炎ですね。以前にMRIで発見した症例はありましたが、単純X線像では初めてです。
ちなみに、私が今まで経験した石灰沈着性腱炎は、下記のごとくです。見ていただければ分かりますが、本当にいろいろな部位に発症するようです。
- 石灰沈着性頚長筋腱炎
- 石灰沈着性中殿筋腱炎
- 石灰沈着性大転子滑液包炎
- 石灰沈着性尺側手根屈筋腱炎(上腕骨内上顆)
- 石灰沈着性尺側手根屈筋腱炎(手関節豆状骨)
- 石灰沈着性長母趾伸筋腱炎
- 手根管内の石灰沈着性腱炎
- 石灰沈着性アキレス腱炎
いずれの症例も、発症時の症状はかなり激烈です。重篤感は無いけど疼痛の訴えが高度な症例では、鑑別診断のひとつに石灰沈着性腱炎を挙げてみてもいいかもしれませんね。
初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。