今日の午後は、マレット骨折に対する経皮ピニング(石黒法)でした。
整形外科手術の中では、最も簡単な手術のひとつと思われがちですが何個か落とし穴があると思います。


まず、extension blockのピンですが、中節骨に対する刺入角度が急だと骨片の整復力が不足します。私の中での理想は中節骨内で髄内釘となることですが、刺入点の関係でなかなか難しいです。


更にextension blockのピンを背側皮膚上で短く切断してしまうと、皮膚を介しての整復力が不足します。したがってガーゼ交換の際の邪魔にならない程度に比較的長く残した方が無難です。


DIP関節の固定は指尖から刺入すると簡単ですが、術後の疼痛を残しやすいことと、C-wireが骨折部にかかることが難点です。したがって私の場合、尺側の側方から斜めに刺入してDIP関節を固定します。


4週程度でC-wireを抜去しますが、術後のリハビリテーションも注意が必要です。
何も考えずにDIP関節の可動域訓練をすると再骨折をおこすことがあります


これを防止するには末節骨基部を背側方向に持ち上げながら伸展訓練をおこなう必要があります。たかがマレット、されどマレットといったところでしょうか。