先日、神経鞘腫の切除術がありました。
それほど頻回にある手術ではないので、合併症について調べてみました。



四肢に生じた神経鞘腫の治療成績と問題点
Author:鈴木 賀代(富山大学 医学部整形外科学)
中部日本整形外科災害外科学会雑誌 57巻4号 Page755-756(2014.07)



医中誌で検索すると、上記の文献がヒットしました。abstractは下記のごとくです。





四肢に発生した神経鞘腫21例23腫瘍を対象に、発生部位と罹患神経、術後神経脱落症状の発生頻度と特徴、神経障害の発生と術式の関連性について検討した。


術後神経脱落症状は無しまたは軽度の痺れ、中等度(明白な痺れ・知覚低下)、麻痺(MMT3以下の運動麻痺)の3群に分類した。


手術法は罹患神経束が腫瘍と連続する場合は核出術を、神経束が腫瘍と剥離可能な場合は辺縁切除術を施行した。観察期間は平均6.8ヵ月であった。


発生部位は下腿、大腿、上腕の順に多く、罹患神経は大腿神経、脛骨神経、総腓骨神経の順に多かった。


術直後に中等度の神経脱落症状を14例(60.9%)に認めたが、術後平均5.7ヵ月で全例回復した。

また、術直後に運動麻痺を3例(13.0%)に認め、総腓骨神経発生2例、深腓骨神経発生1例で、最終観察時に2例(8.7%)でMMT2の麻痺が残存した。


術直後、最終観察時ともに神経脱落症状の発生と術式の違いに関連性は認めなかった。





う~ん、予想以上に術後の神経脱落症状の確率が高いことに驚きました。しかも約8.7%でMMT2の運動麻痺が残存しています。。。


やはり、麻痺が発生しやすいのは腓骨神経のようです。腓骨神経に発生した神経鞘腫では、細心の注意を払って手術を施行するべきであることを改めて認識しました。






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