最近、整形外科分野では、さまざまな鎮痛剤が使用可能となってきました。
そして、2016年にはロコアテープが長期投与可能となりました。


私は、頚椎や腰椎などの脊椎の慢性疼痛にはトラムセットを、膝関節にはロコアテープを処方することが多いです。特に関節水腫が疼痛の原因の場合には、ロコアテープが有用な印象です。


しかし、ロコアテープは「貼るNSAIDs」なので、長期投与では経口製剤と同様に消化管障害が危惧されます。そこで、帝人ファーマのMRの方に、消化管障害対策が必要か否かを質問しました。


MRの方も即答できなかったのですが、後日に回答をいただきました。まず、胃腸薬の併用は、原則として必須ではないそうです。そうは言っても長期処方では単剤投与は気持ち悪いです。


私などは、胃腸薬を併用したい気持ちに駆られますが、そもそも論としてロコアテープは皮膚から吸収されるので、粘膜保護薬は必要無いという意見もあります。


しかし、ムコスタは、胃粘液を増やすことで胃粘膜を保護すると同時に、胃粘膜保護因子であるプロスタグランジンを増やして、胃炎や胃潰瘍を修復する作用があるそうです。


酸化ストレス(フリーラジカル)を抑制する効果をもつため、これによってピロリ菌やNSAIDsが原因の胃粘膜障害にも効果があり、更に小腸粘膜の病変を予防する効果も報告されています。


薬価も安いため、ムコスタやセルベックスをロコアテープと一緒に処方するのは悪くなさそうです。つい忘れがちですが、ロコアテープにはムコスタなどを併用した方が良いのでしょう。




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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









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