4か月ほど前に、糖尿病性前足部壊疽症例に対するショパール関節離断術を施行しました。血液透析中の方なので、基礎条件が非常に悪いです。
本来であれば、初回手術から下腿切断術を選択するところですが、ご本人およびご家族のたっての希望で、ショパール関節離断となりました。
案の定、術後は創が嘴開してしまい、内部から膿が漏出する状況になりました。感染制御のために、創を完全にオープンにしました。ショパール関節レベルでぱっくり開いている状態です
普通なら下腿切断術を検討するところですが、患者さんは「踵」を残すことに執念を燃やしています。そこで、時間は掛かりますが創処置を続けて瘢痕治癒するのを待つことにしました。
この状態で、本当に創処置だけで瘢痕治癒するのでしょうか?高齢透析患者さんの糖尿病性足部壊疽という劣悪な条件にも関わらず、約4ヵ月で創が上皮化して瘢痕治癒しました。
実際に施行した処置は、①微温湯での10分間の足浴 ②ブロメライン軟膏塗布 です。この一連の処置を毎日施行することで、4ヵ月かかりましたが瘢痕治癒に至りました。
患者さんは喜んでいますが、主治医としては少し複雑な気持ちです。このような「贅沢」 な治療が、本当に許されるのだろうか? という疑念を抑えることができないのです。
オプジーボ問題でも議論されたように、有限の医療資源の適正配置は喫緊の課題です。『人の命は地球より重い』は、偽善ではないかと悩んでしまうのです・・・
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