今日の午前は足部壊疽に対する下腿切断術でした。この方は閉塞性動脈硬化症(ASO)に対して他院で血管内治療を施行されましたが、残念ながら壊疽を併発しました。


総腸骨動脈から膝窩動脈まで広範に閉塞していたようで、なんとステントを総腸骨動脈から膝窩動脈まで継ぎ目無く約45cmも留置されていました。ステントの材質はチタン製なので単純X線像で確認可能です。


下腿中央にも壊疽を併発しかけていたので、本来なら大腿切断術の方がより安全だと思います。しかし、この方は膝関節面より約3cm末梢の膝窩動脈までステントが留置されていました。


もし、ステントが留置されている部位で膝窩動脈を切断した場合、ステント越しに結紮できるのかが不明です。循環器内科のドクターに確認しても経験が無いので分からないとのことでした。


ステント部に血流が保たれていると考えると、その部位で切断した場合には動脈断端の処理が不可能かもしれません。このため膝窩動脈ステント部ぎりぎりの下腿切断で対応することにしました。


ここまで、短断端の下腿切断術は初めての経験でしたが、できるだけ中枢側で切断しようとすると仕方ありません。術後単純X線像ではステントよりも約2cm末梢で切断できていました。


仮にステント部で切断しても結紮できるかもしれませんが、心臓血管外科医が居ない施設ではリスクを取ってステント部で切断する意味は少ないと考えます。


そして、下肢切断術を検討する症例ではステントや人工血管が留置されているケースも多々あるので、これまでの経過と単純X線像でステントの有無を確認することは絶対必要だと思いました。



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