この季節になると、ちらほらと側弯症の学校検診に引っ掛かった中高校生が受診します。私は側弯にはやや苦手意識があるので、慎重に診察することを心掛けています。


側弯症例の80-90%は原因不明の特発性脊柱側弯症です。しかし特発性(=原因不明)と診断するには、潜在しているかもしれない神経学的異常や筋・系統疾患を除外する必要があります。


神経学的異常所見を発見するためには、腹壁反射が有用です。もし腹壁反射が片側のみ消失している場合には、MRIを撮像して脊髄空洞症を除外しておく必要があります。


腹壁反射は、腹壁の皮膚を周辺部から臍に向う方向に軽くさすると腹壁筋が収縮する反射です。錐体路の障害によってこの反射が消失するので左右差があるのかを確認します。


腹壁反射自体は簡単な手技なのですが、あらかじめ家族のお腹で慣れておいた方が良いかもしれません。私も子供のおなかを何度もさすって腹壁反射の練習をしたものです(笑)。


側弯の患児で腹壁反射に左右差があった経験は無いですが、もし明らかなに腹壁反射に左右差があるようであれば、MRIを撮像して脊髄空洞症を除外しておきましょう。



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。




                     


                  
Critical thinking脊椎外科