先日、肘部管症候群の手術がありました。
この手術の手術申し込みをする時に、術式を記載する際に手が止まってしまいました。
「尺骨神経前方移行術」と記載したのですが、よく考えたら神経移行術ではなく単なる神経移動術であることに気付いたのです。今まで習慣的に尺骨神経前方移行術と記載してきました。
しかし、本来的に神経移行術(nerve transfer )は神経を他の神経に移行するもので、例えば腕神経叢損傷で肘屈曲力を再建するために肋間神経を筋皮神経へ移したりする術式を指します。
これに対して、肘部管症候群では尺骨神経を前方に移動させるだけなので、神経移行術(nerve transfer )ではなく、神経移動術(nerve transposition)が妥当な名称だと思います。
しかし、一般的に肘部管症候群では「尺骨神経前方移行術」という術式名称が使用されています。現に日本整形外科学会のHPでも、尺骨神経前方移行術が使用されています。
まぁ、どうでもいい話なのですが、何となく神経移行術の方が神経移動術よりも手術の難易度が高そうなイメージなので、私は「尺骨神経前方移行術」を使っていこうと思います(笑)。
広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。