昨日の午後は尺骨肘頭骨折に対する関節内骨折観血的手術でした。
骨接合は鋼線締結法で行いました。
整形外科医にとって尺骨肘頭骨折は非常にポピュラーな骨折なので、粉砕が高度な場合を除いて術中に苦労する場面は少ないと思います。しかし、昨日の方は違いました。
受傷前から肘関節の伸展制限(屈曲拘縮)があったため、肘関節を-30度ぐらいまでしか伸展できなかったのです。どうも肘関節自体が高度に拘縮している可能性があります。
おまけに受傷から2週間近く経過していたため整復に難渋しました。整形外科常勤医が居ない病院からの転院患者さんで、術中所見から考えると受傷時期自体が怪しいものです。
いくら肘頭に停止する上腕三頭筋を剥離しても、骨折部の間隙が2cm程度あります。やむを得ず、アキレス腱延長の際に施行するZ延長術に準じた方法で上腕三頭筋を延長しました。
これで何とか肘頭骨片を整復することが可能となりましたが、尺骨肘頭骨折の手術に際して骨片間の間隙で苦労したことは初めての経験です。
後から考えると、手術せずにそのまま経過観察(=手術適応無し)が妥当だったのかもしれません。今後は肘関節拘縮が高度な症例では、手術適応を慎重に見極めたいと思います。
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