整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

股関節

術前からの股関節拘縮は予測可能か?

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先日、大腿骨頚部骨折に対して人工骨頭挿入術を施行しました。
この方は80歳台後半で、転倒前は独歩可能だったとのことでした。


しかし、入院時から患肢を屈曲・内転させて動かしません。一応、単純X線像を撮影時には股関節を伸展できたので、特に気にも留めませんでした。


いざ、麻酔がかかって側臥位にしたときに患側股関節が外転しないことに気付きました。屈曲・内旋は問題なく可能なのですが、他動的にも伸展・外転・外旋しないのです。


股関節を外転しようとすると、内転筋群が著明に緊張します。どうやら受傷前から股関節の屈曲・内転拘縮があったようです。手術自体は屈曲・内旋できるため問題なく終了しました。


しかし、仰臥位にしても股関節は軽度の屈曲・内旋位のままです。他動でも股関節が外転しないので、やむを得ず経皮的に内転筋切離術を追加しました。


以前に、大腿骨転子部骨折で高度の股関節拘縮のため手術不能だったことがありました。その症例はオムツ骨折だったので、ある程度の予測が可能でした。


今回は転倒前は独歩だったので、股関節拘縮を予測することはかなり難しいと思います。結果的には術後も変わらず拘縮が残存したので、内転筋切離術を施行してようやく解除されました。


今回の経験から、受傷前のADLが独歩であっても股関節拘縮が存在する場合があることを学びました。高齢者の骨折はなかなか奥が深いものです。



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Femoroacetabular impingementおよび臼蓋形成不全に対する股関節鏡視下手術

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昨日は、朝一番から日整会に参加していました。お目当てのセッションは、産業医大の内田宗志先生の「Femoroacetabular impingementおよび臼蓋形成不全に対する股関節鏡視下手術」です。


内田先生は当ブログと
相互リンクをいただいています。いつもながら素晴らしい講演でした。下記に要点をまとめます。ちなみにFemoroacetabular impingement(以下、FAI)とは、Ganzが股関節痛を引き起こす病態として報告して以来、股関節鏡視下手術の技術が飛躍的に進歩しています。


・ FAIは、大腿骨骨頭から頚部オフセットの骨形態異常からインピンジメントを引き起こすCAM impingement、寛骨臼蓋の骨棘や形態異常によるPincer Impingementからなり、両者が合併していることが約86%と報告されている


・ 両者がインピンジすることにより、関節唇損傷を来たし、次第に軟骨損傷を惹起する


・ 保存療法に3ヶ月以上抵抗する場合、早期にスポーツ復帰を希望する患者には、股関節鏡視下手術の適応となる


・ 股関節鏡は以下のずべてを満たす場合に適応となる
  ① 単純X線像でFAIが疑われる 
  ② 3ヶ月以上の保存療法でも効果がない 
  ③ 関節造影MRで関節唇損傷が疑われる 
  ④ 患者の希望


・ 手術は、寛骨臼側のRIM Trimmingもしくは 関節唇縫合+大腿骨側のCAM osteochondroplastyを組み合わせる手術を行うことが多い


・ 新しい試みとして臼蓋形成不全のFAIに対応するため、タナ形成術の併用も行っている


タナ形成術は直視下で施行しても骨片の挿入角度や溝作成が難しいですが、あれだけの小皮切で施行されているのはすごいなと感じました。



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書評: 超音波で分かる運動器疾患

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整形外科領域において、超音波検査の重要性は高まる一方です。もともと肩関節や小児領域ではメジャーな存在でしたが、関節リウマチにおいて超音波検査の重要性が認識されたため、整形外科医にとって超音波検査の技術は必須となった感があります。


しかし、器機の進歩や技術の向上が早く、忙しい整形外科医が超音波検査の習得に取り組み始めるのは少しハードルが高いと思います。できるだけ最短で超音波検査を習得するためには、良質な教科書は必須です。『 超音波で分かる運動器疾患 』 は、そんな整形外科医のニーズにぴったりの書籍です。



                    



           
超音波でわかる運動器疾患−診断のテクニック



アトラス的な書籍が多いなかで、実際に臨床で使うときの異常所見や注意点等がていねいに記載されています。また、日常診療で必要な解剖の知識もコラムにまとめられており、超音波所見と対比して読めるので非常に有用です。


『 
手にとるようにわかる関節リウマチの超音波検査 』 と甲乙つけがたいですが、関節リウマチ以外の整形外科領域でも超音波検査を使用したいと考える方には、『 超音波でわかる運動器疾患 』 に軍配が上りそうです。


もちろん、関節リウマチで超音波検査を使用したい方は、『 
リウマチ診療のための関節エコー撮像法ガイドライン 』  もしくは、『 手にとるようにわかる関節リウマチの超音波検査 』 も購入する方が良いと思います。


その大腿内側の痛みは閉鎖孔ヘルニア?

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今日の午前は外来でした。
60歳台の女性が、突然の鼠径部から大腿内側部痛で受診されました。


診察したところ、股関節や腰椎由来の痛みではなさそうです。しかし、鼠径部や大腿内側に明らかな腫瘤を触知しません。SLRで自発痛があります。閉鎖孔ヘルニアの診断にはCTが必須なので、外科に診察依頼しました。


症状からは、閉鎖孔ヘルニアが最も疑わしかったのですが、CTでは閉鎖孔に明らかなヘルニアを認めず幸い閉鎖孔ヘルニアではなかったようです。


後で外科の先生に閉鎖孔ヘルニアの読影方法をレクチャーしていただきました。整形外科医では腹部CTの読影はできないと思っていましたが、意外と閉鎖孔ヘルニアは判断できそうです。


閉鎖孔の位置は整形外科医でも容易に判断できるので、その部位の軟部組織の左右差を見比べるだけのようです。骨盤腔内から外側に連続する軟部組織が確認できれば閉鎖孔ヘルニアです。


簡単そうに記載しましたが、実際に読影できるのかは自信ありません。夜間当直中に鼠径部~大腿内側痛の方が救急受診されたら腹部(骨盤)CTは撮影するでしょうが、所見が無ければ外科にコンサルトするでしょうね(笑)。



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                                    人工股関節全置換術



滑膜性骨軟骨腫(osteochondromatosis)に対するTHA

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今日の午前は人工股関節全置換術(THA)でした。
滑膜性骨軟骨腫(osteochondromatosis)による二次性股関節症の症例でした。


滑膜性骨軟骨腫症は、関節の中に多数の遊離体を形成します。この遊離体は関節の滑膜組織由来で、良性の腫瘍性病変と考えられています。この遊離体が関節内に嵌頓して変形性股関節症を併発するのです。


股関節を展開すると、径10~20mm程度の軟骨性の遊離体が股関節内に多数存在しました。
可及的に遊離体を摘出すると、シャーレ一杯分になりました。


理由は分かりませんが、寛骨臼側の骨質は良好であったにもかかわらず、大腿骨頚部の骨質はかなり悪かったです。


注意点として大きな遊離体が残存すると、それがインピンジメントの原因となって易脱臼性をきたす可能性があります。試験整復の際に脱臼傾向をみとめれば、遊離体の取り残しがないかを再度確認するべきでしょう。
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