昨日はアルバイト先の病院で薬剤の説明会がありました。
お題は、肥満症治療薬のセチリスタット(商品名:オブリーン)でした。


セチリスタットはリパーゼ阻害薬です。 脂質はリパーゼによって分解されなければ腸管から吸収されないため、リパーゼを阻害することで脂質の吸収を抑えることができるのです。


医薬品で”抗肥満症薬”とは、かなりのインパクトがあります。海千山千の怪しげな肥満の薬は星の数ほどありますが、食欲抑制剤のマジンドールを除けば日本初の”医薬品”だからです。


しかし、残念ながら2014.1.29現在で、薬価基準未収載です。2013.11.13に中央社会保険医療協議会(中医協)が薬価基準収載を見送りました。


医療従事者と保険者からセチリスタットを保険でカバーすべきか疑義が出たのです。BMIが25kg/㎡というフツウの肥満にも適応があり、潜在的な患者数が膨大なことが要因だと思います。


確かにBMIが25kg/㎡程度なら、外観上はほとんど肥満ではありません。裸になれば少しぽっちゃりかな・・・程度なのです。管理人も23-25kg/㎡を彷徨っています(笑)。


実際に薬価基準収載されると、糖尿病・高血圧・高脂血症などの一般的な動脈硬化性疾患の治療の下支えとなり、爆発的なヒット商品になる可能性があります。


セチリスタットが有用なことは分かりますが、保険でカバーされるかはレーシックと同様に医療財政との兼ね合いなのでしょうね。一個人としては薬価基準収載されることを願います。



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 一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。


                      

 症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方





姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。


                       


       類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる