整形外科医のブログ

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肩関節

肩関節可動域の改善度は屈曲と外転で差がある!

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肩関節周囲骨折では、肩関節の可動域訓練がなかなか大変です。がんばって施行していると少しずつ改善しますが、屈曲と外転で改善度に差があると感じています。


整形外科医であれば、このことは皆感じていることだと思いますが、意外なことに教科書や文献で明示されているものを見たことがありません。


そこで思い切って、肩関節外科医にそのような文献が存在するのかを質問してみました。その先生の感覚でも、屈曲→外転→外旋→内旋の順に改善する事が多いとのことです。


一方、教科書や文献に関しては、英文ではありますが下記のような文献の存在を教えていただきました。



The Effectiveness of Acupuncture in the Treatment of Frozen Shoulder: A Systematic Review and Meta-Analysis



Table 4では各種の治療群の比較がなされています。理学療法のみの研究では、屈曲と外転の Baselineに有意差があり、1.5ヵ月後と3ヵ月後の改善度でも屈曲の改善度が高いです。


まさに臨床の肌感覚に合致したシステマティックレビューだと思いました。つまり、肩関節では屈曲→外転の順に改善し、最終的な可動域も屈曲の改善度が高いという結論です。






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凍結肩の MRI所見

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日整会誌. 94: 413-418 2020 に興味深い教育研修講演が掲載されていました。肩関節変性疾患の診断と治療 です。


この中で、いわゆる凍結肩についての記載がありました。凍結肩とは、他動的にも屈曲 100度未満、外旋 10度未満、内旋 L5未満の症例を言います。


いわゆる関節拘縮の状態ですが、私は関節拘縮には有意な画像所見は存在しないと考えていました。ところが、凍結肩においては MRIで下記のような所見が散見されるようです。


  • 関節口腔内や肩峰下滑液包内に水腫を認める
  • 下方関節包(腋窩嚢)のたるみが消失、直線的な肥厚


患側のみの読影は難しいかもしれませんが、健側と比較すれば多少分かりやすいかもしれません。CLINICAL REHABILITATION Vol.26 No.9では、下記のような画像がありました。


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なるほど、関節拘縮であっても MRIで客観的な所見を得ることができるようです。肩関節のMRIでは、上記以外にもいくつかの所見が提示されていました。勉強になります...。






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腱板疎部損傷って何だ?

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腱板疎部ってご存知でしょうか?
名前はよく聞きますが、実際に腱板疎部損傷の患者さんを診たことはありませんでした。


30歳台で社会人野球をしている方が右肩関節周囲炎で受診されました。そりゃー、あなた四十肩でしょうと思いましたが、投球肩の可能性もあるので MRIを撮像しました。



666 - コピー (2)




すると、腱板疎部に一致して高信号領域を認めます。ムム、これはわが生涯初めての腱板疎部損傷の患者さんではないのか...。


うるさく言う親への対応がメンドーなので、スポーツ整形外科は避けるようにしています。このため、腱板疎部損傷というメジャー(?)な疾患をほとんど認知していませんでした。


これまでは机上の知識だけだったので、このようにMRIで明確な腱板疎部損傷の患者さんを診るのは初めてです。


腱板疎部とは、棘上筋と肩甲下筋の間にある腱板の無いスペースです。この部分のみ関節包しか存在しません。その理由は近位に烏口突起があるためです。


腱板疎部の最も広い部分は烏口突起の横で、遠位にいくほど狭くなります。腱板疎部は関節包しかないので弱いと思いがちですが、腱板損傷が発生しないので意外と強い組織です。


よほどの外力が加わらないかぎり、関節包が断裂することはないからです。そうは言っても投球動作等の慢性的な機械刺激では、腱板疎部の関節包も炎症を併発します。


今回の症例では、そのような状態を捉えたのでしょう。腱板疎部炎と腱板疎部損傷の違いは便宜上のもので、両者はオーバーラップしているそうです。う~ん、奥が深い...。






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coronal sectionの日本語訳は?

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先日、脊椎 MRIの読影レポートを読んでいると、前額断のことを冠状断と記載していることに気付きました。ちなみに冠状断のことは水平断と記載されています。



22 - コピー



ちょっと気になったので調べてみると、Wikipediaで上記の図を見つけました。私は coronal sectionを前額断だと思っていましたが、ここでは冠状断になっています。


しかも axial sectionではなくて transverse sectionです。なんだかこんがらがってきますね。周囲の人に確認すると、下記のように使用している整形外科医が多数派でした。

  • coronal section: 前額断
  • axial section: 冠状断
  • sagittal section: 矢状断


しかし、 coronal section=冠状断、
axial section=水平断の人も居ました。sagittal section=矢状断は万人の一致するところですが、coronal sectionは人によって違うようです。






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石灰沈着性腱板炎では正面・内旋像!

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先日、高齢の入院患者さんに、熱発と肩関節痛が出現しました。
診察すると、あきらかに右肩関節が腫脹しています。


高度の認知症のため、コミュニケーションをとることが不可能なのですが、触るとかなり痛そうです。これは、石灰沈着性腱板炎である可能性が濃厚です。


高齢の認知症患者さんなので、念のために血液生化学検査と胸部X線像を依頼しました。胸部X線像は異常所見がなかったのですが、血液生化学検査ではWBC/CRPとも高値です。



ER



そして、問題の肩関節の単純X線像をみると、ナント石灰沈着が無いじゃないですか!エ~、石灰沈着性腱板炎じゃないの? 不明熱は気持ち悪くて嫌だな、と先走ってしまいました。



IR



しかし、次の肩関節正面像(内旋)をみると、立派な(?)石灰沈着がばっちり写っていました。最初の画像(外旋像)をもう一度見直しましたが、石灰沈着は上腕骨頭の後ろに隠れています。


大結節に停止する棘上筋を観察するには、肩関節の内旋・正面像が必要なようです。中間位~外旋位で撮影したものでは腱板に沈着した石灰を読影できないこともあります。


このため、石灰沈着性腱板炎を疑ったときには、肩関節X線像の正面像の内外旋を両方とも確認するべきだと思いました。





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