整形外科医のブログ

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肺炎

高齢者の熱発は要注意

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昨日のつづき です。


昨日のお昼過ぎから頭痛・嘔気を訴え始めました患者さんですが、絶食で経過観察していたところ、今朝から熱発が出現しました。


相変わらず心窩部を中心に圧痛があったので、血液生化学検査を施行しました。結果は、WBC/CRP 12000/3.4 と炎症反応が軽度上昇していました。


これはあまり良くない検査結果だなぁと思い、腹部CTを施行しました。すると、総胆管に石灰化を伴った大きな結石があり、胆嚢が腫大してました。


やはり、「高血圧→頭痛・嘔気」ではなく、「胃腸炎(今回は結石性胆嚢炎でした) → 嘔気 → 血圧が上昇 → 頭痛」というストーリーだったようです。


結石性胆嚢炎に関しては内科医師に相談して、パンスポリン点滴開始および絶食を指示しました。発症から治療開始まで24時間以内なので、予後はそれほど悪くないと思います。


それにしても、やはり
高齢者の熱発は要注意だと思いました。私は入院中の高齢者(>80歳)が37度台後半以上の熱発したら、すぐに血液生化学・尿検査と胸部単純X線像を施行します。


過剰医療の謗りを受けるかもしれませんが、私の経験上は80%以上の確率で治療を要する肺炎・尿路感染症・胆管系疾患等を併発していると感じています。高齢者の熱発は要注意ですね。




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高齢者は身体反応に乏しい

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今週の月曜日に大腿骨転子部骨折の手術をした方が入院しています。
昨日ぐらいから何となくぐったりしているので、念のため採血したところ、CRP 27でした!


しかし、WBC 5900で、熱発もありません。胸腹部CTを施行すると右中~下肺野にかけて浸潤影および胸水を認めました。内科医に診察を仰いだところ診断は肺炎でした。


身体所見では胸部にraleは聴取せず、またroom airでのSaO2は96%でした。つまり、ややぐったりしていること以外ではCRP 27になるような肺炎を併発していることが判断できなかったのです。


私は、一見して問題なさそうな方に関しては術翌日と1週間後に血液生化学検査を行っています。しかし、今回のように高齢者では身体反応が弱いため発熱しないケースを散見します。


このあたりを考慮すると、特に高齢者では術後4日目前後にも血液生化学検査を施行しておく方が安全なのかなと思うようになりました。


施設や主治医によって検査を施行する日程はばらばらだと思いますが、どのようなスケジュールが一般的かつ安全なのかをご存知の方は是非教えて欲しいところです。



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在宅医療での重要な2つのポイント

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昨夜は、アルバイト先の新年会に出席してきました。
普段あまり接点の無い先生方とたくさんお話できて有意義でした。


その中のひとりに、在宅医療をされている方が居られました。在宅医療の話はあまり直接お伺いする機会が無かったので、非常に興味深く拝聴しました。


在宅医療では検査もあまりできないので、基本的には問診と簡単な身体所見を取るだけです。それだけでは不安になりませんか?とお伺いしたところ、2つのポイントを教えてくれました。


その2つのポイントとは、下記のごとくです。
① 家族や看護スタッフから普段と変わった様子が無いかを訊く
② 熱発していたら要注意


①に関しては、慢性硬膜下血腫などを念頭に置いています。教科書的には片麻痺や意識障害が云々とありますが、実際の在宅医療の現場ではそのような知識はあまり役に立ちません。


近親者などの普段から頻回に接している方からの「最近、様子が変わってきた」という情報が、疾患発見の重要なポイントになるそうです。


②に関しては、高齢者は生体反応に乏しいので、38度以上の熱発をしているということは何かマズイことが起こっている可能性が非常に高いとのことです。


これに関しては私も全くの同意見で、高齢者の38度以上の熱発は極めて危険なシグナルだと思っています。実際、かなりの確率で肺炎や尿路感染症を併発しています。


このように他科の医師と話をすることで、いろいろな自分の知識や経験がブラッシュアップされます。是非、積極的に機会を見つけていろいろな方とお話することをお勧めします。



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肺炎併発後の関節リウマチの治療はどうする?

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生物学的製剤投与後すぐに劇的な効果があった場合には、肺炎などの感染症を併発する可能性があることを警戒するべきです。つい最近もシンポニー(GLM)投与後1週で肺炎を併発した症例がありました。


通常、肺炎を併発すると生物学的製剤だけではなくMTXの投与も中止します。しかし、そのままMTXを投与しないと、関節リウマチが再燃します。MTXはおそるおそる再投与しますが、何故か肺炎を併発する前よりも少ない量で関節リウマチをコントロールできることが少なくないようです。


一方、やはりMTXのみでは炎症をコントロールできない症例では、生物学的製剤投与を検討せざるえません。この場合、初回の生物学的製剤はTNF製剤であることが多いので、非TNF製剤であるオレンシア(ABA)やアクテムラ(TCZ)を選択することが多いです。


しかし、アクテムラは強烈にCRPを抑制するので、肺炎等の感染症が再発したときに発見が遅れる可能性があります。このあたりを考慮するとオレンシアが第一選択になることが多いように思います。これだけ生物学的製剤での治療がメジャーになってくると付随する問題が多くなって難しいですね。







高齢者下肢骨折に対する当日手術での病態把握法

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先日、高齢者の大腿骨転子部骨折に対して基本的に当日手術を施行していることを書いたところ、患者さんの病態把握に困ったことは無いかというコメントがあったので、私が注意している点をまとめてみました。


まず、どんな状態であっても基本的には手術を施行する前提なのですが、抜管不能な重度肺炎や心筋梗塞・脳梗塞の超急性期症例については、さすがに手術は行いません。


私が重視している術前検査のチェックポイントは、①心機能 ②高度弁膜狭窄症の有無 ③腎機能 ④重度肺炎の有無 です。


① 心機能 
  心エコーをルーチン化して、駆出率(EF)を参考にしています。
  おおよそ60%以上あると安心ですが、ときどき40%ぐらいの方がいるので注意が必要です。

② 高度弁膜狭窄症の有無
  心エコーをルーチン化しています。 高度弁膜狭窄症が存在すると補液に細心の注意が必要です。

③ 腎機能の把握 
  手術まで時間が無いので、eGFRを参考にして補液量や抗生剤の投与量を調整しています。

④ 抜管不能な重度肺炎の有無 
  肺炎は、大腿骨近位部骨折の主な受傷原因のひとつなので、常に注意が必要です。
  胸部X線像、血液生化学で確認しています。
  疑わしい場合には胸部CT施行の上、内科医に相談です。


要は、通常の術前検査(血液生化学・胸部X線像・ECG・動脈血ガス分析)に加えて、心エコーをルーチン化しているだけです。幸い心エコーをスムーズに施行してもらえる体制なので、病態把握に時間を取られることはあまりありません。


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