整形外科医のブログ

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脱臼

肩骨折手術後の不安定性の原因は?

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先日、肩関節人工骨頭置換術を施行しました。
術後1週時点で単純X線像を施行したところ、骨頭が亜脱臼位にありました・・・。


Y-viewでは脱臼していないで肩関節の前方脱臼には至っていないのですが、単純X線像を見るとどうしても不安に駆られてしまうような所見です。


しかし、よく考えると人工骨頭置換術だけではなく、通常のプレートや髄内釘を使用した骨接合術の症例でも、同様の所見を認めるケースが多いです。


骨接合術では術後脱臼の可能性を考える必要性が無いので、今までさほど気に掛けていませんでした。しかし、肩関節人工骨頭置換術では術後脱臼の可能性も皆無ではありません。


ちょっとビクビクしながら毎週単純X線像で脱臼していないかを確認していたところ、術後3週で亜脱臼の程度が軽快しました。これは通常の骨接合術とほぼ同じ経過だと思います。


肩関節の骨折手術後に肩関節が亜脱臼位になる理由は諸説ありますが、今回の経験から術後血腫ではなく肩関節周囲筋の機能不全が原因ではないかと感じました。


時間の経過と伴に肩関節周囲筋の機能不全が改善することで、肩関節の安定性が増すと思います。肩関節人工骨頭では少しドキドキしますが、慎重に見守るのが吉だと思いました。



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THA術後脱臼への対応

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今日の午前は、アルバイト先での外来でした。病院に着いた際に、常勤の先生から私がTHAを施行した患者さんが脱臼したとの連絡を受けました。


この方は術後3週間で退院されたのですが、術後6週目の先週に風呂場で転倒して脱臼したとのことでした。幸い、骨折の併発は無かったようですが、脱臼したことは結構ショックでした。


実は、私は自分の執刀例でまだ脱臼を経験したことが無かったのです。この方は術中も特に易脱臼性は認めませんでしたが、基礎疾患が特発性大腿骨頭壊死症(ION)です。


IONの患者さんは、通常のOAの患者さんと比べて拘縮が少なく軟部組織が正常に近いため、どちらかというとTHA術後に易脱臼性を有する方が多いです。


このあたりの事情を考慮しましたが、今回は不良肢位が原因ではなさそうなので、外転装具の装着等はせずに全荷重で様子を見ることにしました。


もちろん、脱臼肢位についてもう一度細かく説明しました。私たち整形外科医にとっては常識的な事柄なのですが、やはり患者さんはイマイチ理解されていないようでした。


軟部組織の修復にしばらく時間が掛かるため、2~3ヶ月は充分に注意してもらおうと思います。それにしても自分の執刀患者さんの脱臼は嫌なものですね。。。



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病病連携は本当に善なのか?

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今日は朝から忙しかったです。
本日未明に私の携帯電話が鳴りました。


なんだぁ~?と思って出ると病院からの電話でした。昨夜は当直だったので今晩電話がかかってくるハズがありません。眠気眼で対応していると、どうも受け持ち患者さんが脱臼したようです。


この方は、年末に他院で大腿骨頚部骨折に対して人工骨頭置換術を施行された方です。回復期リハビリテーション目的で、私の勤務する病院に転院してきました。


しかし、認知症がきつくてほとんどリハビリテーションになりません。脱臼肢位への理解も乏しく(無く)、すぐに危険肢位をとってしまいます。


そうは言ってもTHAではなく人工骨頭ですから、一般的にはそれほど脱臼に関してはナーバスになる必要は無いと思います。実際、自験例で人工骨頭の脱臼など皆無です。


静脈麻酔下に整復したところ、屈曲・内転・内旋位では全く脱臼しないのですが、屈曲・外旋位であっさり前方に脱臼しました。ちょっと外旋するだけで脱臼するほどの易脱臼性です・・・。


改めて診療情報提供書を見直したところ、手術記録は仕方無いとしても脱臼肢位の記載がありませんでした。回復期サイドからは、急性期は全くのブラックボックスです。


今回は、回復期の担当医師は整形外科専門医(つまり私)ですが、リハビリテーション医であることも多いです。リハ医は手術経験も無いので、ますます術後患者さんはブラックボックスでしょう。


回復期担当医の目からみると、急性期病院から送られてくる患者さんはトラブルが多いです。自分が執刀して回復期に転棟させた方と比べて圧倒的に高リスクなため、正直言って怖いです。


医療制度に異を唱えるわけではありませんが、本来的には執刀医が責任を持って最後まで(リハビリテーションまで)治療を受け持つべきではないのか? と感じる今日この頃です。




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肘内障の病態は『輪状靭帯脱臼』!

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整形外科超音波画像の基礎と臨床応用 -見えるから分かる、分かるからできる-
日整会誌(J. Jpn. Orthop. Assoc.)86: 1057-1064  2012


第26回日本整形外科学会基礎学術集会で教育研修講演として発表された
城東整形外科の皆川洋至先生の論文の一部です。


下記に肘内障の病態の部分のみ要約します。


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・ 肘内障の病態は古くから橈骨頭の前方亜脱臼や腕頭関節内への輪状靭帯の嵌頓と考えられてきた

・ 関節エコーを使用して調べたところ、回外筋が輪状靭帯と共に腕橈関節内へ引き込まれるて発症することが判明した

・ 輪状靭帯から起始する先細りの回外筋が、輪状靭帯とともに腕橈関節内に引き込まれた像を「Jサイン」という

・ 輪状靭帯の消失、滑膜ひだの巨大化、回外筋の腕橈関節内への引き込み(Jサイン)は、肘内障の特徴的所見である

・ 肘内障の整復後も回外筋は高エコー像化するので、自然整復例も捕捉できる


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提示されているエコーが非常に分かりやすいので、原著を読むことを強くお勧めします。





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THA: 前側方アプローチでの大腿骨頭の脱臼方法

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今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
私は前側方からアプローチしますが、後外側アプローチと比較して大腿骨頭の脱臼が難しいと感じています。


以前、
ブログの記事で記載したように、良好な展開を得るために下記のような工夫をしています。


・ 最初は大転子先端を中心に6cm程度の皮切を加え、大腿骨を展開した時点で必要な皮切を追加する
⇒ これによって皮下脂肪の多い患者さんでも至適な皮切となる


・ 梨状窩、寛骨臼縁までしっかり関節包を切開する
⇒ 特に1~23時方向は関節包の内側まで切除してクリアランスを良くすることで脱臼しやすくなります


これに加えて最近は大腿骨の頚体角を考えて、股関節屈曲45度・内転10度・外旋80度で脱臼するようにしています。
大腿骨頚体角は130度程度なので、右股関節の場合には屈曲90度では22時方向に右大腿骨頭がきます。


※ THAの手術記録のテンプレートが必要な方は、私の運営するサイトから自由にダウンロードしていただけます。ただし、手術記録のテンプレートはあくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行っていただけますよう重ねてお願いいたします。



この方向では中殿筋が大腿骨頭の上に覆い被さっているため脱臼が困難となります。関節屈曲45度ぐらいにすると大腿骨頭が0時方向にくるので、屈曲90度と比べると中殿筋の影響がまだ少なくなるからです。

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