整形外科医のブログ

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脳梗塞

急性期脳神経疾患の対応法

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高齢の患者さんを受け持っていると、ときどき入院中に脳梗塞を発症することがあります。これ、結構焦りますね。。。


このような場合、整形外科医としてどのように対応すればよいのでしょうか? 近くに神経内科医や脳神経外科医が居れば、即診察依頼で問題ないです。


しかし、常に専門医が居るわけではありません。小規模な場末病院や、中核病院であっても夜間帯には、専門医に相談できないこともあります。


そのような時のために、整形外科医であっても最低限知っておきたいことをまとめてみました。脳神経系疾患を疑えば、まず施行する検査は、頭部CTであることは論を俟ちません。


この時点で脳出血は診断できます。しかし、早期の脳梗塞は、頭部CTでは診断できません(少なくとも非専門医レベルでは)。このため、次に施行する検査は頭部MRIとなります。


脳神経外科医の先生にお伺いしたところ、頭部MRIの撮像法は下記の順番で施行するべきだと教えてもらいました。


  1.  拡散強調画像(Diffusion weighted image: DWI)
  2.  MRA
  3.  FLAIR(Fluid Attenuated Inversion Recovery)




① 拡散強調画像(DWI)

超急性期(約1時間)の脳梗塞でも描出可能です。位置決めから撮像終了まで約5分なので、救急の現場でも非常に有用です。


② MRA

閉塞血管の診断に用いるため、①DWIに引き続き撮像します。DWIは約7分で撮像が終了します。ここまでで、位置決めから約12分経過しています。


③ FLAIR

②MRAまでで終了しても良いのですが、FLAIRだけなら3分で完了するので撮像しておきましょう。くも膜下出血(SAH)の診断に有用です。ここまでの合計は約15分です。




急性期の脳神経疾患は、時間との戦いです。また、患者さんの状態も不安定なので、短時間でたくさんの情報を得ることができる検査を優先させる必要があります。



まとめ

脳神経疾患を疑えば、神経内科医もしくは脳神経外科医にコンタクトをとりながら、同時に下記検査依頼を行いましょう。救急のABCはもちろん最優先です!

  1.  頭部CT
  2.  頭部MRI(DWI → MRA → FLAIR)






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脳梗塞は気象前線通過日に好発?!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
気象前線通過、脳梗塞に注意を です。




 脳血管障害は気象変化の影響を受ける代表的な疾患である。発症頻度と気象条件の関わりについてはさまざまな研究が行われているが、これまで気象前線の通過と脳血管障害発症との関連性を見た報告はなかった。広島大学大学院脳神経内科学の下村怜氏らは、急性期病院に入院した脳血管障害患者約4,000例を対象に検討を行い、脳梗塞の発症頻度が前線通過で増加したことを第42回日本脳卒中学会(STROKE 2017、3月16日〜19日)で報告した。



寒冷前線、温暖前線の通過は脳梗塞の発症に影響

 今回の検討はHiroshima 'Emergency and Weather' Study(HEWS)の一環として行われたもので、2012年1月〜13年12月に広島県内の急性期病院7施設に発症後7日以内に入院した脳血管障害症例3,935例を対象とした。平均年齢は73.5±12.4歳、病型は脳出血が18.8%、脳梗塞が81.2%であった。

 気象前線(寒冷/温暖)の通過日は、気象庁発表の湿度補正気温(THI)と天気図から同定。脳血管障害発症頻度と発症当日のTHI五分位(7.9℃以下、8.0〜12.7℃、12.8〜18.6℃、18.7〜23.7℃、23.8℃以上)および発症当日から6日前までの前線通過の有無との関連を多変量解析で検討した。なお、観察期間中の広島エリアにおける寒冷前線通過は111回、温暖前線通過は24回であった。

 解析の結果、発症当日のTHIが高いと脳出血の発症リスクが高かったが、発症当日のTHIと脳梗塞との関連は見られなかった。発症当日のTHIを調整し、気象前線通過と脳血管障害発症との関連を脳出血と脳梗塞に分けて検討したところ、脳出血では寒冷前線通過と温暖前線通過のいずれも発症頻度に影響していなかった。一方、脳梗塞では発症6日前の寒冷前線通過、および発症前日の温暖前線通過で発症頻度が有意に増加していた(それぞれP=0.039、P<0.005、多変量非線形ポアソン回帰分析)。

 気象前線通過が循環器疾患の関連死を増加させるとの報告もあることから(Int J Biometeorol 2015)、下村氏は「脳梗塞の発症は気象前線の通過に影響を受ける可能性がある。今後は脳梗塞の病型と気象条件との関連について、さらに詳細に検討していきたい」と述べた。






う~ん、非常に興味深い記事ですね。整形外科領域でも、関節リウマチと気象変化の関係が指摘されています。天気が悪くなると症状が悪化することが多いのです。


もちろん、個体差が大きいので一概に言えることではないのですが、関節リウマチ患者の臨床データと気象データを用いて、両者の間に相関がみられることを示した研究もあります。


しかし、今回は関節リウマチの疼痛などの症状ではなく、生命にかかわる脳梗塞であるところが怖いですね。特に寒冷前線の通過時には要注意のようです。


ちなみに寒冷前線が通過すると、気温や湿度が急激に下降して低止まりします。一方、寒冷前線の接近に伴って気圧は低下し、通過後は急激に上昇してその後高いまま推移します。


このような気温や気圧の急激な変化が、脳血管に対してあまり良くない影響を及ぼすのかもしれません。温度はコントロール可能ですが、気圧の変化はどうしようもありません。


脳梗塞を発症しないようにしたくても、具体的には注意のしようもないですが、マメ知識として知っておいて損はないと思いました。






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