整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

腰椎

棘突起をきれいに温存できた!

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、筋肉温存型腰椎椎弓間除圧術 (muscle-preserving interlaminar decompression: MILD法)を施行しました。 今回の除圧高位はL3/4の1椎間でした。


最近では、手術時間の短縮(と言っても5分程度でしょうか)と、より後方成分を温存するため、上位椎の棘突起の末梢1/2を縦割して進入しています。



AP - コピー



術後は骨癒合を期待して、縦割した棘突起を縫合しています。上図は術後1週目の単純X線正面像ですが、L3棘突起はかろうじて判別できます。



LR - コピー
 



一方、こちらの側面像では、L3棘突起をきれいに温存できていることを確認できました!さすがにL4棘突起中枢側は少し無くなっていますが、執刀医的には非常に満足です。


私は脊椎外科医ではないので、適応のある症例のみを厳選して手術を行っています。そして、勤務先の病院に脊椎外科医は居ないので、単純な後方除圧術であっても慎重に施行します。


単なる後方除圧術なのにTHAやTKAよりもプレッシャーがかかって嫌なのですが、市中の小規模病院勤務のため、自分で対応可能な手術であれば逃げることはできません。


とは言っても、1時間ほど集中して手術するだけで患者さんの症状が劇的に良くなるので、ついつい手術予約を入れてしまいます。コストパフォーマンスの良い手術は辞められませんね(笑)。





★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 

    




腰椎の石灰沈着性腱炎?

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、30歳台後半の女性が急激な腰痛と38度台の熱発を訴えて夜間に救急受診しました。
救急外来で採血した血液生化学所見は、WBC 13600/ul, CRP 1.57mg/dlでした。


次の日の午前診で私の外来を受診した際には解熱しており、腰痛も軽減していました。易感染性をきたす既往歴は無いようですが、化膿性椎間板炎を除外診断するためMRIを施行しました。



1



上の画像はMRIのSTIRです。明らかな椎間板の高輝度変化は認めませんが、L1~L3椎体前方の軟部組織にびまん性の高輝度領域を認めます。これはいったい何なのでしょうか?



2



冠状断で大腰筋は正常ですが、椎体前方の軟部組織にびまん性の高輝度変化を認めます。しかし、膿瘍を形成している所見ではなさそうです。


発症から10時間程度で解熱して腰痛も軽快していることから、化膿性椎間板炎などの感染症ではなさそうな印象です。特に患者さんから重篤感を感じません。


いったい何なのだろう? と考えていると、以前に石灰沈着性頸長筋腱炎の患者さんを診察したことを思い出しました。 もしや、腰椎に何らかの石灰沈着性腱炎を併発したのでは?



単純X線像をもう一度確認しましたが、特に椎体前方に石灰沈着を認めませんでした。しかし、軟部組織が厚いので、単純X線像では確認できない可能性もあります。


診断のためだけに症状が軽快している女性を被爆させるのもどうかと思い、あえてCTは撮影しませんでした。このため石灰沈着性腱炎であったか否かの真偽は不明です。



その後は熱発が再出現することもなく、腰痛は1週間後には完全に無くなりました。総合的に判断すると、腰椎前方の軟部組織に石灰沈着性腱炎を併発した可能性が高いと考えています。





★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

腰椎は中枢側からの除圧が吉?

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、棘突起縦割式腰椎椎弓形成術(L35)を施行しました
術前のMRIでは、L4/5>L3/4の脊柱管狭窄を認めました。


術後AP



今回はL4の棘突起を縦割して手術を行いました。私の場合、まずL3-5までの椎弓を掘削して骨性処置を全て終了してから、2椎間連続で軟部の処置を行います。


L4/5の狭窄が高度であったため、軟部組織の切除はL4/5から開始しました。しかし、L3/4の除圧が未だったためか硬膜管が膨らまないため、上手くLigamentum flavumを切除できません。


硬膜管が萎んだままなのでLigamentum flavumに張りがなく、ケリソン鉗子でズムーズに切除できないのです。半分ほど切除しましたが、効率が悪いのでL3/4の除圧を行うことにしました。


L3/4の軟部組織を切除するとL4/5の硬膜管が膨隆してきました。Ligamentum flavumにも緊張感が出てきたので、あっという間にL4/5の除圧も終了しました。


私は手術を行う際、基本的には一番重要なところの処置を最優先で行うことにしています。これは、術中に不測の事態が発生しても、そのまま手術を終了できるようにするためです。
 

つまり、常に退路を確保しながら手術を行うことを意識しています。 しかし、2椎間連続の脊柱管狭窄症では、どうも上手くいきませんでした。


今までどちらの高位から除圧するのか深く考えたことは無かったのですが、2椎間連続の脊柱管狭窄症では、中枢側から除圧するという方針で統一すれば良いのでしょうか???
 




★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 

    





5/20の確率で椎弓切除術は偶然か?

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、外来をしていると慢性腰痛の診察希望で患者さんが初診されました。
単純X線像ではOAを認めるのみだったので、トラムセットを投与開始しました。


効果はそこそこあったので、増量しましょうという話をして診察を終了しようとしたところ、「ところで、ご相談があります」とエラク神妙な表情でおっしゃられました。


「何でしょう?」とお伺いすると、その方の職場の同僚は20名足らずにも関わらず、この2年ほどで5名の方が腰椎の手術を受けたとのことでした。


その職場は化学系製品を製造する中小企業だそうですが、どうもこの患者さんは取り扱っている化学物質が腰椎に悪い影響を与えているのではないか? と疑っているようです。


何らかの化学物質が腰部脊柱管狭窄症との間に因果関係があるという話は聞いたことが無かったので、それは単なる偶然でしょうと軽く聞き流しました。


しかし、この患者さんは「5/20が単なる偶然でしょうか?」としつこく食い下がってきます。いやぁ、単なる偶然だと思いますが・・・と言いつつ、少し嫌な感じがしました。


思い切って「それは、もしかしてひとつの医療機関で手術されたのですか?」と質問すると、全員が同じ医療機関の同一医師に、この2年ほどの間に手術を受けたそうです・・・


どうやら手術を受けた方が、同じ症状に悩む職場の同僚にその医師の受診を勧めた結果、芋づる式に同一医療機関のある特定の医師に手術を施行されたということが真相だったのです。


実は隣の県で大々的に売り出していた(※)脊椎外科医が、私の勤務地の近くで2年前に脊椎専門病院を設立しました。そして今回の方の職場の同僚達はこの医師に執刀されたようです。


 ※ この医師の一般向け著書を一読すると、典型的なバイブル商法のニオイを感じました


私はこの医師と直接の面識はないのですが、頚椎椎弓形成術を勧められた受傷後3ヵ月の外傷性頚部症候群の20歳台女性患者さんのセカンドオピニオン診察を担当した経験があります。


その件以来、警戒していた医師なので少し衝撃を受けました。職場で取り扱っている化学物質ではなく、その医師の治療方針が「偶然ではない何か」を生み出しているのだと思います・・・


この2年間で同一職場で手術を施行された5名の患者さんたちは、実際に手術適応であったのであろうとは思いますが、少し複雑な気持ちになった外来でした。


脊椎手術のドレーン管理

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日施行した筋肉温存型腰椎椎弓間除圧術(MILD法)の方ですが、
手術当日の夜に体動が激しかったため、ドレーンが引き抜けてしまいました。


ドレーンの引き抜けは翌日の初回包交の際に発見したのですが、固定糸よりも体側で引き抜けていました。一応、エアタイトネスは保たれていましたが、ドレナージ効果は消失していました。


骨折や人工関節手術ではドレーンが抜けてもさほど問題にならないですが、さすがに脊椎手術でドレーンが引き抜けると術後の硬膜外血腫のリスクが高まります。


幸い、硬膜外血腫併発の徴候は無かったですが、内心ヒヤヒヤしていました。特にMILD法のような低侵襲手術では棘突起も再建するので、術後の硬膜外スペースに余裕がありません。


頚椎手術ほどではないですが、低侵襲の脊椎手術においては術後のドレーン管理が重要であることを、今更ながらに再認識しました。


再発防止策を考えたのですが、このような体動によるドレーンの引き抜けを防止するためには、固定糸を1ヵ所だけでなく2ヵ所作成する必要があると思いました。


もちろん2ヵ所の固定糸でドレーンを固定しても、激しい体動下では抜けてしまう可能性はありますが、1ヵ所だけよりは幾分ドレーン引き抜けのリスクは低下するのではないかと思います。




       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 

                   
    


腰椎の手術―ベーシックからアドバンストまで必須テクニック (OS NOW Instruction)




アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

           管理人の著書
   勤務医のための資産形成マニュアル
      医師のための 資産形成講義
2015神戸セミナー

      築古木造戸建投資マニュアル
      医師のための 金融資産形成術
医師のための金融資産形成術

        タダで自宅を手に入よう!
   資産形成のコンサルテーション・サービス


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール
QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。