整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

腰痛

中高生の腰痛では仙腸関節も念頭に!

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10歳台の男性の腰痛を診察する機会は比較的多いと思います。
今日も春休みなので、高校生の腰痛患者さんが何名か受診されました。


競技レベルでスポーツをしている中高生では、腰椎分離症や腰椎椎間板症を念頭に置きます。しかし、その中の1人は腰椎MRIで所見が無いにも関わらず頑固な腰痛で悩んでいました。


では、どこに由来する痛みかというと、私の中では仙腸関節由来の痛みを考慮するべきだと感じています。仙腸関節由来の痛みは、看護師さん等の医療・介護系の方に顕著に多い印象です。


しかし、10歳台の若年者でも腰椎分離症や腰椎椎間板症を除外できるのなら、仙腸関節痛の誘発テストを施行して仙腸関節由来の痛みであることを診断する必要があります。



無題



各種の仙腸関節痛誘発テストがありますが、特にGaenslen testが有用だと思います。このテストは、患側をベッドの端にして健側下肢の膝を屈曲して胸に抱えるようにします。


そして検者は患側下肢をベッドの端から出して過伸展させます。普段感じているのと同じ部位に同じような痛みが再現すれば仙腸関節由来の疼痛と診断します。


今日の高校生は、Gaenslen testおよびFreiberg testとも陽性でした。仙腸関節由来の痛みであった場合には、
仙腸関節ベルト を処方すれば痛みが軽快するケースが多いです。


ただし、腸骨を締め過ぎて大腿外側皮神経麻痺を併発しないよう説明する必要があります。中高生へは難しいですが、成人ならモービック等の長時間作用型鎮痛剤も有用だと思います。



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AAAの既往のある圧迫骨折

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昨夜は当直でした。近所の老健施設から、入所中の80歳台の方がベットからずり落ちてから腰を痛がっているので診て欲しいという依頼があったので、二つ返事で診察を引き受けました。


患者さんの診察すると胸腰移行部に脊椎叩打痛があり、圧迫骨折である可能性が濃厚です。そこで単純X線を施行しようとしたときに問題が発生しました。


施設の職員の方が、「患者さんには腹部大動脈瘤の既往があるため、ご家族がCTで腹部大動脈瘤の精査も行ってもらうことを強く希望されています!」とおっしゃられるのです・・・。


臨床的には明らかに胸腰移行部の圧迫骨折の可能性が濃厚なのですが、腹部大動脈瘤(AAA)による腰痛である可能性も全くゼロではないはずです。


あいにく心臓血管外科が無い病院なので、腹部大動脈瘤の質的評価を正確に下せる医師が居ません。この状況で専門外の診察・治療を引き受けることは非常にリスクが高いと思いました。


更に、大動脈瘤は医師泣かせのやっかいな疾患で、もし入院中に破裂して不幸な転帰を辿れば高率に訴えられ敗訴します。個人的には最もトラブルの多い疾患のひとつという認識です。


このようなことを総合的に考慮した結果、やはり心臓血管外科医の居ない施設でこの方を受け入れることは難しいと判断して、速やかに他院を受診していただくことになりました。


腹部大動脈瘤破裂などの発生したときのダメージが致命的な疾患がときどきあるので、医師は常にアンテナを張ってトラブルに巻き込まれないように心掛ける必要があると思いました。



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若年女性の腰痛は仙腸関節を疑おう!

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20歳台の女性の腰痛を診察する機会は比較的多いと思います。
特に医療・介護系の仕事に従事している方の有病率は高い印象です。


このような方に腰椎や骨盤の単純X線を施行しても全く所見が無いことが多いです。普通に考えたら腰椎分離症以外で20歳台の若年者に単純X線像で異常所見を認めることは少ないでしょう。


では、どこに由来する痛みかというと、私の中では仙腸関節由来の痛みを考慮するべきだと感じています。特に、看護師さんや介護士さん等の医療・介護系の方に顕著に多いと思います。


しかし、単純X線像で仙腸関節に異常所見を認めることはほとんどありません。そこで、仙腸関節痛の誘発テストを施行して仙腸関節由来の痛みであることを診断する必要があります。



無題



各種の仙腸関節痛誘発テストがありますが、特にGaenslen testが有用だと思います。このテストは、患側をベッドの端にして健側下肢の膝を屈曲して胸に抱えるようにします。そして検者は患側下肢をベッドの端から出して過伸展させます。普段感じているのと同じ部位に同じような痛みが再現すれば仙腸関節由来の疼痛と診断します。


仙腸関節由来の痛みであった場合には、
仙腸関節ベルト を処方すれば痛みが軽快するケースが多いです。ただし、腸骨稜を締め過ぎて大腿外側皮神経麻痺を併発しないように説明しておく必要があります。また、モービック等の長時間作用型の消炎鎮痛剤も有用だと思います。



           ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


 
 一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。


                      

 症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方





姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。


                       


       類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる



脊椎由来の疼痛に対する治療法 その3

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脊椎由来の疼痛に対する治療法 その3 のつづきです。


6週間後に診察するときにも、モービックの服用を終了した時点と痛みの程度が変化しないことが多いです。つまり、服用を終了して2週間しても、痛みが再燃しないのです。これはCRPSの治療と同じ考え方なのかなと思っています。


もちろん、このようにうまく痛みが軽快しない方もいます。その際にはリリカやトラムセットを試してみますが、副作用の問題もあり、すっきりしないのが現状です。こうなってくるとペインクリニックに紹介することも検討しなければならないのでしょうね。


腰痛の場合、脊椎由来でないこともあり、注意が必要です。よくあるのが尿路結石です。これは尿検査で潜血プラスであれば容易に診断できます。エコーで水腎症が分かればなお良いです。また、比較的若い女性の場合には卵巣捻転のために腰痛をきたした方を経験したことがあります。問いただすと下腹部もやや痛いとのことでしたが、メインは腰痛だったのです。


背部痛の場合は、帯状疱疹も鑑別診断する必要があります。このような器質的な疾患を除外することも重要だと思います。

脊椎由来の疼痛に対する治療法 その1

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やはり、整形外科の外来では腰痛・膝関節部痛・頚部痛・肩関節痛の方が圧倒的に多いです。


このうち関節由来の膝と肩は関節腔内注射を中心に治療していくので、効果が劇的にあることが多いです。しかし、脊椎由来の痛みに関しては関節由来ほどには効果的な治療法が無いのが現状です。


17年間、いろいろな方法を試してみましたが、最近では基本に戻って鎮痛剤が結構効果的かなと感じています。複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)の考え方に準じて治療を行おうしていたら、早期からの積極的な消炎鎮痛剤投与に行き着いたのです。ちなみにCRPSとは、1996年に国際疼痛学会がRSDから名称を変更したものです。


CRPSでは痛みのループができてしまって疼痛が慢性化するのですが、程度の差こそあれ誰でもこのような傾向はあるといわれています。つまり急性腰痛症や外傷性頚部症候群(いわゆる交通事故のむちうち)に対して、早期から積極的に消炎鎮痛剤を投与すると、局所の疼痛誘発物質が洗い流されて疼痛が慢性化しにくくなるという理屈です。


その2 につづく

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