先日、70歳台の膝関節複合靭帯損傷(PCL+MCL)を診療しました。通常、膝関節複合靭帯損傷といってもPCL損傷がメインの場合はそれほどやっかいではない場合が多いです。しかし、比較的高齢者のPCL+MCL損傷なので、逆にどうしようか思案しました。


脛骨後顆の裂離骨片が約10mm程度転位しているので、保存的に治療して骨癒合を得てもPCLの緊張が低下するのでPCLの機能不全が残存します。


しかし、ACLの機能不全ではないので、若年者ほど活動的ではない70歳台の方が日常生活でさほどPCLの機能不全のために困る場面には遭遇しないことが予想されます。


この方のADLを考えて、MCLは下肢ギプスシーネ固定で保存治療を行い、PCLの機能不全は筋力トレーニングで対応するという治療方針にしました。


具体的には下肢ギプスシーネ固定を3週間施行して、その後PCL軟性装具を2ヶ月常用するというスケジュールです。仮に瘢痕治癒になってもPCL機能を少しでも温存することを目指します。


一応、骨癒合を狙って受傷後4週までは膝屈曲角度を90度までに制限しようと思います。その後、徐々に屈曲制限を解除していきます。


現時点で私が考えた70歳台の膝関節複合靭帯損傷の治療方針ですが、エビデンスがあるわけではありません。このような方に対して、どのような治療方針が最も良い治療成績を得ることができるのでしょうか?



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