今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
通常のOA症例だったので、何の問題も無く終了しました。
今日は午後から関節リウマチのTHAが控えています。こちらはやや時間がかかりそうな予想です。さて、人工関節手術が多い施設では自己血貯血をさばくことが問題になると思います。
年間100例ペースと仮定すると、2回の自己血貯血で1年間で200回も採血することになります。常勤整形外科医3名程度の施設では、ドクター採血のままだと全く仕事が回らないです。
そこで、他院(大学の関連病院)がどのようにこの問題をクリアしているかをメールで調査してみました。調査結果は下記のごとくです。
A病院: ドクター採血です(涙)
B病院: 採血部(看護師)に一任しています
C病院: 採血部(血液内科医)に一任しています
D病院: ここ7年間ほど自己血は全く取ってないです!
法的には自己血貯血を医師が施行しなければいけない理由は無いですが、自己血貯血を頻回に施行する施設はあまり多くないので、A病院のようにドクター採血の施設が多い印象です。
私が現在勤務する病院も残念ながらA病院のようにドクター採血です。調べてみると自己血貯血に関連する点数は下記のごとくでした(2014.2.14現在)。
自己血採取: 250点 / 200ml
自己血輸血: 750点 / 200ml
例) 400mlを2本貯血して返血すると、4000点(=4万円)となります。
整形外科医の負担軽減のためにもB病院のように採血部を立ち上げて専任の看護師さんを育て上げるのがベストかなと考えています。上記点数を睨みながら報酬金額を検討する予定です。
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人工股関節全置換術
自己血貯血
今日は午後から自己血貯血を行いました。管理人の勤めている病院では毎週月曜日の午後から、人工関節全置換術施行予定の患者さんの自己血貯血を行っています。
ここ数年、毎週のように自己血貯血を行っているので、自己血採取の技術には相当自信を持っています。まあ、比較的どうでもよい範疇の技術に分類されると思いますが(笑)。
17Gという相当太い針で穿刺するので、太い静脈を捜す必要があります。血管が太い方は問題ないですが、太っている方では皮下のかなり深いところに静脈が埋没していることが多いので、穿刺は難しいことが多いです。
また、太っている方は静脈径も細い傾向にあり、整形外科医泣かせな方が多いのも特徴です。さて、静脈径の細い方に穿刺してうまく血管内に入っても、径が細過ぎるため貯血スピードが極端に遅くなるケースがあります。
このような場合には収縮期血圧と拡張期血圧の間の圧となることを目標にして、比較的緩く上腕を駆血します。すると、収縮期には上肢に血液が流入しますが拡張期には中枢に戻らないため、だんだんと血管が拡張していくので貯血スピードが上ります。
これでも貯血スピードが不十分な場合には、ベッドの高さを上げてやると気圧の助けによって貯血スピードが上がります。このような細かい工夫をしながら苦労して自己血貯血する場合も結構多いように感じます。
もちろん、貯血スピードは速過ぎると危険ですが遅すぎるとルート内で凝血してしまい、採取した血液が無駄になってしまうので注意が必要です。
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