今日の午前はアルバイト先での外来でした。
この病院での外来も、やはり脊椎由来の痛みの治療が多いです。


神経根症状はすぐには軽快しないので、比較的長丁場での治療になると思います。このような
ケースでロキソニン等のNSAIDsを投与し続けることは副作用を考えると少し躊躇します。


そこで、トラムセットやリリカの登場となりますが、これらの薬剤の問題点は副作用の併発を避けるために少量から漸増させるという薬剤の容量調整が必要なことです。


少量では充分な効果を得ることが難しいため、初診から充分量のトラムセットやリリカを投与できるまでの期間は、ロキソニン等のNSAIDsを併用することでしのいでいます。


しかし、厳密にこの工程を実行するには初診からしばらくは毎週受診してもらう必要があります。既に退職している高齢者なら問題無いですが、忙しい現役の社会人では難しいことが多いです。


この場合、私は初診時に最少量の初期投与を行い、次週の再診時に副作用の有無を確認します。副作用が無い場合には、通常量を処方して患者さんに自己調整してもらうことが多いです。


例えば、比較的若年者であれば、それぞれ下記のような処方を行うことが多いです。
 トラムセット:  1錠 眠前 → 3錠 分3後
 リリカ:      75mg × 1カプセル 眠前 → 75mg × 4カプセル 分2後朝夕
 


このような処方を行った上で副作用の有無を確認しながら、リリカは2~3日おきに1カプセルずつ増量、トラムセットも同様に2~3日おきに1錠ずつ増量してもらいます。


そして、2回目の診察終了時には「残薬がどれだけあるか数えてきてください」と言っておきます。3回目の診察に際には、余っている薬剤を差し引いた量を処方するのです


このように処方することで、3回目の診察時には、リリカやトラムセットが維持量に到達していることが多く、忙しい社会人であっても少ない外来回数で治療効果を享受することができます。




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