最近、交通事故の自賠責治療で、さまざまなトラブルが発生するようになってきました。医師は被害者と加害者の間に立たされ対応に苦慮することがあります。


自賠責治療では最後に後遺障害診断を行いますが、後遺障害の等級によりもらえる金額が変わってきます。このため後遺障害診断書にクレームをつけられるケースが出てくるのです。


最近では、弁護士事務所が交通事故無料相談などの広告を打っています。弁護士特約が付いている任意保険の加入者が多くなってきたため、弁護士に相談しやすくなっているのです。


交通事故処理を弁護士に依頼する患者さんが増えるにしたがって、弁護士から後遺障害診断時に記載内容についての指示が来るケースもあるようです。


後遺障害診断は医師がありのままに記載する必要があるため、他者の指示に従うことには問題があります。このため、弁護士の指示に従う必要はありません。


また、後遺障害診断時に弁護士が同席を希望することもあるようですが、これに関しては医師サイドで断ることも可能です。


また、患者さんの代理人として弁護士や認定司法書士(損害賠償額140万円まで)が登場するケースもありますが、行政書士の場合には弁護士法違反なので拒否することが可能です。


このように、任意保険の弁護士特約の普及で、自賠責治療にも変化の波が押し寄せています。ここまでは弁護士にやや批判的な内容ですが、全てに否定的になる必要はありません。


むしろ、今までは損害保険会社の力が圧倒的に強かったために、無茶な後遺障害等級認定がまかり通っていたという事実があります。


現在の自賠責治療の変化は、その揺り戻しが起こっているに過ぎないのです。今まで被害者:損害保険会社=1:9ぐらいだったのが、3:7ぐらいになってきた感覚でしょうか。


私個人の気持ちは患者(=被害者)サイドにあるので、被害者や弁護士と協議しながら無難な落としどころを探る診療を進めています。





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