児童虐待のトリアージの追記事です。診断に関しては、前回説明したような事項が有用です。児童虐待のサインがあれば、見逃さないように注意しなければいけません。
では児童虐待を疑わせる所見があった場合、どのように対応すればよいのでしょうか?これに関しては、日整会誌94:549-553 2020で東大整形の岡田慶太先生が説明されています。
まず最優先事項は、児童の安全確保です。具体的には入院させて親から隔離する必要があります。手術が必要な症例では容易に入院させることができます。
しかし、保存治療が選択される症例であっても、ギプス治療前に牽引治療を行ったり、腫脹や疼痛を理由に入院させることもあるそうです。
実際には医師ひとりですべての対応を行うことは困難です。ここで登場するのは MSWです。彼らは社会福祉士の資格を持っており、児童相談所と連携して対応してくれます。
まずは医師が児童虐待の兆候を察知して、入院等で児童の安全を確保してから、次のステップは MSWにバトンタッチするという流れとなります。
豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です