先日、学会出張がありました。
外来を休診にするわけにはいかないので、他の病院から応援医師を招聘しました。


次の週の外来に、前週の患者さんが受診しました。この方は血液透析中の関節リウマチ患者さんです。RAのコントロールが難しいので、生物学的製剤(ABT)を導入しています。


4週に1度の点滴なのに何故受診したのか訊いてみると、前週の外来で「血液透析しているので、透析前ではなくて透析後に投与日を変更してもらうべき」と言われたそうです。。。


う~ん、これはいただけないですね。血液透析症例ではMTXが禁忌です。しかし、生物学的製剤に関しては、ほぼ通常通りの使用方法で投与可能です。


具体的には埼玉医科大学リウマチ膠原病内科の秋山雄次先生の下記論文に詳述されています。 血液透析施行例での治療を行う際には、この論文を一読することをお勧めします。 







要約すると下記の如くとなります。
  • DMARDsではSASP、TACを中心に治療を進める
  • 生物学的製剤では①TCZ ②ETN、ADA、ABT の順番で推奨される
  • 生物学的製剤の導入に際しては、通常例以上に感染のスクリーニングおよびモニタリングを徹底する 
  • AAアミロイドーシス合併RAは予後が悪いので、積極的に生物学的製剤導入を検討する


関節リウマチで血液透析施行例の方は、AAアミロイドーシスのために腎不全に移行した症例も多いようです。


したがって、感染のスクリーニングおよびモニタリングを徹底しながら、コントロール不良の症例では、生物学的製剤の導入が推奨されています。







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