先日の外来で、70歳台の方が左下肢痛・しびれで初診されました。なんでも自動車を運転していた際に、突然左下肢に疼痛としびれが発症したとのことです。


一応、独歩で入室してきたのですが、問診票の「1時間前から」という記載にくぎ付けになりました。このような突然の発症はロクなことがありません。


整形外科医として、まず考えることは下肢痛・しびれが血管性か否かということです。今回の患者さんは下肢といっても臀部からの疼痛・しびれでした。


それなら腰椎由来の可能性が高いと思うところですが、ソックスを脱いでもらって両足を比較すると、明らかな左足が蒼白です。足背動脈も左側は触知できません。


コレはまずいなということで循環器内科に紹介すると、すぐに造影CTが施行されて左大腿動脈の急性血管閉塞という診断がつきました。


以前にも急性大腿動脈閉塞を経験しましたが、その症例は七転八倒の疼痛で尋常じゃない病態であることが一目瞭然でした。しかし、今回は曲がりなりにも歩行可能でした...


緊急で血栓除去術を行うとのことですぐに転院されましたが、ちんたらやっていたら危なかったのでゾッとしました。


「急性血管閉塞=七転八倒の症例ばかりではない」という経験を積ませていただきました。やっぱり臨床はコワいですね。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です