先日の外来で、アキレス腱周囲炎の患者さんを診察しました。
初回は他の医師にロキソニンを処方されたのですが、効果が無いとのことで再診されました。
診察すると確かにアキレス腱周囲炎のようです。外用剤も処方されていますが、効果は全く無いとのことでした。仕方無いのでトラムセットを処方しようと思いました。
その時に、ロキソニンは先発品を服用していたのか確認しなければならないことに気付きました。すると、やはりこの方はロキソニンのジェネリック医薬品を服用していたとのことでした。
私は、先発医薬品とジェネリック医薬品の間で効用に明らかに差があると感じています。特に消炎鎮痛剤はストレートに効果が発現するので先発医薬品との差異が顕著になります。
以前、ロキソニンのジェネリック医薬品で消化管潰瘍が多発したため、危機感からジェネリック医薬品について調べました。まず「特許が切れた」のは物質特許であり薬の主成分そのものです。
しかし物質特許以外にも「製法特許」や「製造特許」が存在するので、製法特許が切れていなかったら同じ添加物を加えることができません。
そして、添加物が変われば主成分の溶出速度や吸収速度が変化するため、薬の効用や副作用の併発の頻度が大きく異なるのです。
更にジェネリック医薬品の試験に「有効性の試験」は存在しても「安全性の試験」はありません。しかも有効性の試験といっても、統計学的に±20%の範囲であれば差がないと判断されます。
先発品と比べて20%だけ多く効果があったり、その逆に効果が少なかったりしても「有効性は同じである」と判断されます。つまり、ジェネリック医薬品は先発医薬品とは異なる薬なのです。
ジェネリック医薬品は、「特許が切れた薬」「安価なのに先発医薬品と同じ効果を得ることができる」と言われていますが、実際に治療を行う臨床医の感覚では 「建前だな」 と思います・・・。
このため、メンドウなのですが初診時には先発医薬品を選択するように説明しています。ジェネリック医薬品では本当に効果が無いのかが判断できないからです。
先発医薬品で効果が無いのなら次の手を考える必要がありますが、ジェネリック医薬品では先発医薬品を試してみます。そして、先発医薬品では効果がある症例が多いです・・・
あまり声を大にして言えないですが、「その薬が効かなかったのはジェネリック医薬品だったからではないのか?」 という視点を持つことも実際の臨床の現場には必要だと思います。
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