先日、人工股関節全置換術(THA)を施行しました。
今回も内閉鎖筋温存の後外側アプローチで進入しています。
術中はリーマーの出し入れやポリエチレンライナーの設置で苦労しますが、インプランテーションを終了して脱臼肢位をとった際にパツパツに張った短外旋筋群をみると苦労が報われます。
上記はいかにも脱臼しなさそうな画像ですが、印象としては軟部組織の温存よりもインプラントの設置角度の方が関節の安定性により大きな影響を与えると思います。
より大きな影響というよりは、関節の安定性を決める要素の90%はインプラントの設置角度で、軟部組織の温存は10%程度と言っても過言ではないと思います。
この観点からは、視野の妨げになる軟部組織を全て切除して完全な視界の元で手術を施行する方が、関節の安定性を得やすいのかもしれません。
まぁ、軟部組織を全て切除するのは極論だと思いますが、軟部組織の温存に力を入れるあまりに、インプラント設置角度の正確さを損なえば、それは本末転倒だと言わざるを得ないでしょう。
TKAでは靭帯バランスが重要ですが、THAではインプラントの設置角度が最重要です。短外旋筋群を温存しつつも、このポイントだけは絶対に外さないように心掛けたいと思います。
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人工股関節全置換術