整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

認知症

認知症にみえる難聴患者さんは多い!

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先日、ご高齢の女性が受診されました。
この方は腰痛で通院中なのですが、やり取りをしていてもイマイチ反応が良くありません。


私の言ってることをほぼ理解していないように思えます。あまりにも理解力が乏しいので、この方は認知症に違いないと思っていました。


的を得ないとは言え、
この患者さんは私の話にタイミング良く返事してくれます。このため理解力が乏しいのだと思っていたのです。



しかし、よくよく観察すると耳が遠いために私の言っていることが聞き取れていないだけということに気付きました。


そこで、耳元でしっかり大きな声で説明をすると、それに対する明瞭な返答が返ってきます。あーなるほど、これは認知症ではなくて単に耳が遠いだけなのか。。。


それ以来、理解力が悪いように見える人であっても、耳元でゆっくり大きな声でお話をすると、意外なほど私の言いたいことを理解できる人が多いことが分かりました。


今まで認知症だと思っていた患者さんの中には、結構な割合で単に耳が遠いだけという人が含まれていたのです。


この歳になってこんな発見をしたのですが、意外とご高齢の方は認知症ではなくて耳が遠いだけの方が含まれているので注意が必要だと思いました。





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難聴や低教育は認知症の危険因子!

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2017年8月3日号のMedical Tribuneで興味深い記事がありました。9因子の制御で認知症の35%は予防可能 です。




Lancet認知症予防・介入・ケア委員会は「生涯を通じて9つのリスク因子をコントロールし、脳の健康状態を改善できれば、認知症の35%は予防できる可能性がある」とする専門家24人の見解をまとめた認知症に関する包括的レビューを、アルツハイマー協会国際会議2017(英・ロンドン)で発表した。同レビューはLancet(2017年7月20日オンライン版)で同時公開された。




修正可能な9つのリスク因子を検討


 最新の推計によると、全世界の2015年の認知症患者数は約4,700万人で、低・中所得国における急激な増加を背景に2050年には約3倍に達するとみられている。認知症に伴う総コストは年間8,180億ドル(2015年)で、医療以外の介護に当たる家族や社会の負担となるコストが約85%を占めることから、社会を挙げての対策が喫緊の課題である。筆頭著者で英・University College Londonの Gill Livingston氏は「今すぐ行動を起こし、認知症患者とその家族における生活の改善を図る必要がある」と指摘している。


 認知症を発症するのは主に65歳超の高年期であるが、脳の変化はその数年前から始まっていることが多い。そこで、小児期(18歳未満)や中年期(45〜65歳)のリスク因子にも目を向けて認知症予防に取り組む必要がある。


 同氏らは小児期、中年期、高年期における9つの"修正可能な"リスク因子として、小児期では①教育期間の短さ(15歳超での教育が継続されず小学校が最終学歴)、中年期では②高血圧③肥満④難聴、高年期では⑤喫煙⑥抑うつ⑦運動不足⑧社会的孤立⑨糖尿病を挙げ、各リスク因子の認知症発症への影響をモデル化し、完全に排除できた場合に認知症症例全体の何パーセントの予防につながるかを推算した(下図)。



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 各リスク因子については、小児期に15歳超での教育継続がなければ、認知の予備力が低下し、認知症リスク上昇につながると考えられている。


 難聴と認知症との関連についての研究は始まったばかりだが、複数のコホート研究から、軽度難聴でも長期的な認知機能低下リスクにつながることが示されている。また、修正可能リスクとして取り上げられているものの、補聴器の有用性など未解明の問題は数多く残されている。




認知症予防効果をweighted PAFで定量化


 Livingston氏らは、各リスク因子への曝露率、同曝露に起因する発症の相対リスクを基に人口寄与割合(PAF)を算出。共通性による補正を通じて各リスク因子のPAF全体への相対的寄与度をweighted PAFとして求め、これを各リスク因子が完全に排除された場合に予防可能な疾患の割合と定義した。


 その結果、これら9つのリスク因子全てを完全に排除できれば、認知症の35%を予防できる可能性が示された。


 認知症の主要な遺伝学的リスク因子としてアポリポ蛋白(apo)Eのε4アレルがあるが、apoE ε4を標的とする方法が確立されても、それにより予防可能な割合は認知症全体の約7%とみられており、上記リスク因子の修正の重要性がうかがえる。


 リスク因子への介入が全ての認知症の発症遅延・予防につながるわけではないが、介入の効果を最大化するには社会の中にうまく取り入れて安全かつ効率的な介入を図る必要がある。


 同レビュー執筆者の1人米・University of Southern CaliforniaのLon Schneider氏は「認知症発症予防を目的としたリスク因子への介入と並んで重要なのが、発症後の患者を受け入れ、その家族や介護者の支援する社会をつくり上げることだ」とコメントしている。認知症患者を受け入れ守ること、介護者の抑うつリスク低減に向けた効果的な介入を検討することも同レビューが掲げる主要メッセージの一部である。


 なお同レビューの限界として、Livingston氏らは、食事や飲酒の影響を考慮していないこと、一部の推定値についてはデータ不足によりグローバルなデータに基づいていないこと、一部のリスク因子は人生の他の時期でも影響力を持つと考えられることなどを挙げ、今後の研究課題としている。 






Lancetからの興味深い報告です。特に図表が秀逸ですね。このfigureをみると、認知症のリスクファクターと影響の大きさが一目同然です。


小児期の教育期間の短さは、個人の努力では如何ともしがたいです。生まれ育った家庭の経済力に依るところが大きいので、この部分に関しては国の出番だと思います。


中年期の高血圧と肥満は、生活習慣が影響を及ぼします。この部分は意識的に修復可能です。難聴も治療や補聴器によって改善できそうです。


高年期の喫煙や運動不足は努力で克服できます。このように考えると、合計で20%ほど認知症の発症することを軽減できそうです。


今回の報告を拝読して驚いたのは、同じリスクファクターといっても、因子によって割合が全く異なることです。特に難聴の悪影響の大きさは特筆するべきだと思います。


耳鼻科医師にとっては当然のことなのかもしれませんが、私たち整形外科医も、このことについては認識を新たにする必要がありそうです。





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至適飲酒量はビール缶の1/3 ?!

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2017年4月1日号の週刊ダイヤモンドで興味深い記事がありました。認知症を予防する飲酒量は? 1日あたり0.5合程度が上限 です。




飲酒は認知症の発症リスクになることが知られているが、少量飲酒は予防に働くらしい。中国海洋大学(山東省)の研究チームからの報告。  


研究者らは、飲酒量と認知症発症との関係を検討した複数の試験結果を体系立てて再解析。全認知症4586症例を含む7万3330人、11試験のデータと、アルツハイマー型認知症1267例を含む5万2715人、5試験のデータ、そして血管性認知症542例を含む4万9535人、4試験のデータを用いた。  


解析の結果、全認知症と大量飲酒との間には、以前から指摘されているように発症リスクが増加する傾向が認められた。その一方で、少量飲酒では全認知症の発症リスクが低下していたのだ。  


具体的にはリスク低下に働くアルコール摂取量(純アルコール換算)は1日あたり12.5グラムまで。アルコール度数5%のビールなら350ミリリットル缶の8分目といったところ。ロング缶なら2人で半分こするといい。アルコール度数15度の日本酒なら0.5合が1日の上限である。  


また、最もリスク低下効果が示されたのは6グラム/日だった。この場合、ビールは135ミリリットル缶1本でおしまい。日本酒ならぐい飲み1、2杯ほどである。  


逆に1日あたりのアルコール摂取量が38グラムを超えると、全認知症発症リスクが明らかに上昇。また、飲酒の影響は60歳未満の中高年層で一層大きかった。  


さて、同じような調査研究は、欧米でも行われている。各国でおおむね一致しているのは、1日のアルコール摂取量が12グラム以上だと認知症の発症リスクが上昇すること。逆に1日5~10グラム程度の摂取はお酒を全く飲まない人よりリスクが低下する点だ。試験によってはリスクが半減するとの報告もある。とはいえ、下戸の方は無理に飲酒する必要はありません。  


さて、厚生労働省は「節度ある適度な飲酒(アルコール摂取量)」を1日あたり20グラムとしている。しかし認知症予防の観点からすれば、その半分でも多い。  


今日の一杯が明日の認知機能に影響することをお忘れなく。。 





酒飲みにとって、これは結構キツイ研究結果だと思いました。認知症のリスク低下に働くアルコール摂取量である1日あたり12.5gは、ビール350ml缶の8割とのことです。


更に、最も認知症のリスク低下効果が示されたのは1日あたり6gとのことで、これはビール350ml缶の1/3(!)程度しかありません。これは、少ない。。。


酒飲みにとっては、これだけ少量の飲酒で終わり!となるぐらいなら、まだ完全に禁酒した方がマシかもしれません。寸止めは辛いです・・・


まぁ、プラスマイナス・ゼロとなるアルコール摂取量である1日あたり12.5g(ビール350ml缶の8割)で留めることを目指すことが、妥当な落としどころでしょうか。


私的には、認知症にならずに長生きしても、お酒のない人生は味気なさ過ぎて価値が低い気がします(笑)。大量飲酒は控えつつ、各々の価値観で飲酒量を決めた方がよいのでは?





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外来患者さんの認知症を見抜けず・・・

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先日、病棟に行くと顔見知りの80歳台後半の患者さんが、ナースステーションに車椅子で座っていました。 ??? と思ってスタッフに確認すると、脱水症で入院しているとのことです。


ナースステーションに車椅子で座っていた理由は、高度の認知症があるため目を離せないからだそうです。何年も外来通院されていたのですが、全然気付きませんでした・・・


いつもはご家族の付き添いで受診されます。ご本人とお話ししても、外来では普通に会話が成立していました。このため、認知症が高度であるとは露ほども思っていませんでした。


本当は認知症が無く、単なる冤罪(?)でナーステーションに車椅子で座っているのではないのか? と何度も確認しましたが、やはり高度の認知症がありそうです。


持参薬の鑑別を行うと、私が処方した薬を大量に持参されているようです。どうやら、私が処方した薬剤を、ほとんど服用していなかったようです。


何ということでしょうか! 外来では認知症の存在に全く気付きませんでした。これは由々しき問題です。「ぼちぼちなようです」と家族が言ってくれていたので安心していました。


しかし、家族は服薬していないことを知らず、私は服薬しているものと信じていたのです。ご本人は、疾患の存在さえ覚えていないのでしょう・・・


認知症の方の中には受け答えが一見しっかりしているため、初めて会う人では認知症の存在を分からないケースがよくあるそうです。


それにしても数年通院されている患者さんに認知症があることを気付かなかったことは、大いに反省するべきことです。年に一度は、季節や日時が言えることを確認した方が良さそうです。




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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。








急性発症の認知症患者は要注意?

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先日、外来をしていると数日前から体動時に痛がっている高齢患者さんが受診されました。この方は施設に入所中で、高度の認知症のためコミュニケーションを取ることが困難でした。


施設の方もどこが痛いのか分からないので、問診票に「足のつけね」と適当に記載していました。診察しても特に股関節に痛みは無いので、問いただすとこのことを白状した次第です(笑)。


診察した印象では両股関節・膝関節・脊椎に痛みは無いようです。しかし、確かに体動時に痛みがあるようでした。通常、認知症の方は痛みに対して鈍感になっています。


高度の認知症の方が痛みを訴えるのは、どこかに重大な疾患が潜んでいると考えるべきです。このことを念頭に丹念に全身を触ってみましたが、やはりどこが痛いのか分かりませんでした。


う~ん、どうしようと思いましたが、取りあえず急を要するモノでは無さそうです。取りあえず、1週間後に再診してもらって状態がどのように変化するのかを経過観察させてもらうことにしました。


認知症の方なので、詐病は無いと思います。臨床の現場では全てで正解があるわけではないのですが、地雷は踏まないように慎重な対応を心掛けようと思います。



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