私の受け持ち患者さんでASOによる足部壊疽の方がいました。
この方は数十年来のヘビースモーカー&糖尿病の放置例です。


まだ比較的若年者ですが、両足部の血行状態が不良で、知らない間に足背に潰瘍を併発してしまいました。足部は軟部組織い乏しいため、すぐ直下に伸筋腱があります。


この方も潰瘍底に伸筋腱が露出してしまいました。これだけならまだ良いのですが、感染を併発したため関節包が融解してしまい、MTP関節が剥き出しになりました。


こうなっては、切断も時間の問題です。しかし、まだ比較的若年者であることと蜂窩織炎が一旦は鎮静化したため、感染が再燃するまで経過観察することにしました。


これが一年前のことなのですが、ヘビースモーカーだったので食道癌を併発されて摂食障害が出現したため、やむを得ずPEGを造設することになりました。


私は、PEG造設に対して何も期待していませんでしたが、この日を境に足部潰瘍が劇的に改善してきたのです!あれよあれよと言う間にMTP関節がふさがり、急速に肉芽形成が進展しました。


PEG造設から2ヶ月ほどで、MTP関節が露出するほど広範囲に広がっていた足部潰瘍が完全に治癒してしまったのです。化膿性関節炎を併発していたはずなのに綺麗に上皮化しています。


これには心底驚きました。ASOに起因した重度足部潰瘍症例であっても、栄養状態が良くなれば治癒する可能性もゼロではないことを今回の経験で学ぶことができました。



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